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365日診療の現場で、在庫管理の手間や欠品リスクが問題になっていました。38台のユニットを擁し、20名を超える医師や多数の歯科衛生士・歯科助手が連携する大規模歯科医院では、院内の在庫管理がベテランスタッフの目視や勘に頼る属人的な運用になっていました。その結果、欠品による治療中断のリスクや「絶対に欠品させてはならない」というプレッシャー、担当者不在時の引き継ぎ漏れや情報共有の困難といった課題が生じていました。特に年中無休で診療を行う体制では、夜間やシフト間での在庫把握が難しく、現場の負担が深刻化していたと報告されています。
こうした課題に対して、IoT重量センサを用いた在庫管理の導入事例が公開されました。導入された仕組みは、棚上や保管場所に置いた物の実在庫を重量で継続的に計測し、クラウド上で可視化するというものです。物を「置くだけ」で在庫量が自動計測され、設定した閾値を下回ると自動発注やアラート通知が発生するため、従来の目視確認や台帳記入、手作業による棚卸が不要になります。これにより、リアルタイムでの実在庫把握や発注の自動化が可能になり、日勤・夜勤間の連携もスムーズになるとされています。
導入は現地調査、設置、閾値設定、試行運用を経て本格稼働に移行したと説明されています。現場では消耗品の種類と設置場所を整理してスマートマットを配置し、重量特性に応じた閾値を設定してチューニングを行いました。初期段階でスタッフ教育を実施し、運用上の注意点やシステムの挙動を共有することで、現場の抵抗感を抑えながら定着を図ったと報告されています。導入後は担当者間の情報共有が改善され、引き継ぎ漏れの解消につながったとされています。
導入効果としては、在庫や発注業務の工数削減、発注ミスの減少、欠品による診療中断の回避が挙げられています。見える化により担当者不在時でも在庫状況が把握できるようになり、スタッフの精神的負担が軽減された点も強調されています。また、クラウドで複数拠点やシフト間の在庫状況が同期されるため、従来の属人管理からの脱却が期待できるとしています。
詳しくは「株式会社エスマット」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松