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近年、多くの大学でデジタル化が進む中、校務における「紙文書」が依然として重要な役割を果たしています。株式会社エイトレッドによる調査では、約7割の大学が校務において紙文書を主要な手段としていることが明らかになりました。この調査結果をもとに、大学の校務DXの現状と、ペーパーレス化に向けた課題を詳しく探ります。デジタル化が進む現代社会において、教育機関も例外ではありません。デジタル技術を駆使することによって業務効率化や教育の質向上が期待されます。しかし、多くの大学においては、依然として紙文書に依存している現状があります。本調査は、大学の校務DXにおける実態を把握し、今後のデジタル化の方向性について考えることを目的としています。
調査の結果、70.9%の大学が「紙文書が半分以上使用している」と回答し、わずか9.7%の大学が「紙文書はほとんど使用していない」と答えました。この高い割合は、業務プロセスが未だに紙中心であることを示唆しています。教職員の多くが、電子データへの移行に対して抵抗を示していることが影響しているとえられます。特に、業務の大部分が紙文書に依存している大学では、デジタル化が進まない理由の一因と言えます。
ペーパス化を進める上での課題としては、40.8%が「個人情報を含む電子データの安全管理」を挙げました。この結果から、情報セキュリティへの懸念が依然として高いことが分かります。加えて、「大量の紙資料を電子化する手間とコスト」や「学内での電子文書の取扱規則が未整備」といった課題も浮かび上がりました。これらの要因は、デジタル化を遅らせる大きな障害といえます。
調査に参加した職員からは、「紙文化に慣れ親しんでいる職員の意識改革」が必要との意見が寄せられました。特に、パソコンを使うことに不慣れなベテラン教員に対する周知徹底が望まれています。ペーパーレス化やデジタル化を進めるためには、技術やシステムに対する理解を深めるための研修やサポートが必要です。
調査では、稟議書や申請書の承認フローについても多くの課題が指摘されています。「承認ルートに関わる人数が多く、フローが複雑」「承認状況の可視化ができない」といった問題が上位にランクインしました。これに対し、システム間の連携や業務プロセスの標準化が求められています。
今後の校務DX推進において、校務支援システムには「既存システムとの連携のしやすさ」が最も期待されています。加えて、「使い慣れた紙のイメージのまま電子化できるサービス」の導入も重視されていることが分かります。これらのニーズ応えるシステムの導入が、校務のデジタル化を加速させるカギとなるでしょう。
今回の調査結果を通じて、大学の校務DXは比較的高いレベルで推進されていることが確認されましたが、それでも多くの課題が残されています。特に、情報セキュリティや承認フローの煩雑さ、教職員の意識改革が、進展の妨げとなっています。今後、自治体や大学管理者は、堅牢なセキュリティを担保しつつ、既存のシステムとスムーズに連携できる包括的なソリューションの導入を検討することが求められます。
詳しくは「株式会社エイトレッド」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松