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企業の4割以上が生成AIを業務利用中――一見順調に見えるこの現実に、重大な“見落とし”が潜んでいます。JIPDECが発表した最新のIT利活用調査では、AI活用の裏で「個人判断での利用」が14.4%という事実が明らかに。AI推進の最前線で、何が課題となっているのでしょうか。
JIPDEC(日本情報経済社会推進協会)が3月に発表した「企業IT利活用動向調査2025」によれば、生成AIを業務利用している企業は全体の45.0%に達しました。さらに「導入検討中」企業も含めれば、約8割の企業が何らかの形で生成AIに関心を示していることになります。
一方で見逃せないのが、「会社としては導入していないが、従業員の判断に任せている」企業が14.4%も存在している点です。これは、生成AIの“野放し運用”が一定の割合で進行していることを示しており、企業リスクの増大にも直結します。
また、法制度に対する理解や備えも心もとない状況です。2024年の個人情報保護法見直しに関して、「関心がある」企業は29.0%にとどまり、「意見が出ているのは知っているが内容は把握していない」企業が33.6%と上回りました。
このような実態は、AI活用が進む一方で、セキュリティやプライバシー対応の整備が追いついていない“成長痛”を浮き彫りにしています。
JIPDECは、生成AI活用と同時にランサムウェア対策やプライバシー・テック(PETs)の導入状況なども調査。3月14日に開催された分析報告会では、企業に求められる新たなガバナンスの姿についても議論されました。
AI時代の本格到来を迎えるなかで、単なる“導入”ではなく、社内規定とリテラシー教育の両輪が、今後の競争力を左右するカギとなりそうです。
詳しくは「⼀般財団法⼈⽇本情報経済社会推進協会」まで。
レポート/DXマガジン編集部 海道