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環境情報開示の最前線で、AIが“文献調査から広報まで”を自動化。NECが開発を進める「Agentic AI」が、サステナビリティ報告を根底から変えようとしています。
NECは、自然関連財務情報開示(TNFD)レポートの作成に特化したAIシステム「Agentic AI」の開発を進めています。2025年内に開示予定のレポートに実際に活用し、調査から執筆・広報に至るまでの業務を自動化する仕組みを構築しています。
背景には、企業のサステナビリティ担当者が直面する情報開示の煩雑さがあります。特にTNFDはまだ指針の整備が進行中で、対応には高度な専門知識と膨大な労力が求められてきました。
NECは2023年に業界で初めてTNFDレポートを開示し、国際会議にも登壇。今回のAgentic AIは、こうした実績とノウハウを土台に開発されています。
Agentic AIでは、チャット形式で対話するだけで、調査・リスク評価・文章作成・レビュー・広報の5タスクを順に実行可能です。すでに導入済みの調査工程では、専門ガイダンスの読解時間を約92%短縮する効果が確認されており、AIによる“時間革命”が進んでいます。
今後は、開示項目の拡張が予想されるSSBJ(サステナビリティ開示基準)や、格付け調査への応用も視野に入れています。TNFDを皮切りに、環境・人権・経済安全保障まで、企業の情報開示におけるAI活用が加速しそうです。
NECは「クライアントゼロ」の方針のもと、自社を実験場としながら、企業変革の新モデルを示そうとしています。Agentic AIは、ESG対応に追われるすべての企業にとって、革新的なソリューションとなるかもしれません。
詳しくは「NEC」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部海道