愛犬の耳掃除、やりすぎ注意!?犬の耳垢の自浄作用ってなに?【獣医が解説】
犬の耳の構造は ”L字型”!人とは違う仕組みとは?
犬の耳の中は、人間のようにまっすぐではなく、L字型に曲がっていて奥深い構造をしています。
外から見える「耳介(じかい)」の奥に、垂直耳道(まっすぐ下に伸びる道)と水平耳道(内側へ曲がる道)があり、その先に鼓膜があります。つまり、鼓膜はかなり深い位置にあり、綿棒などでは到底届かない場所にあります。
この構造のおかげで、異物が鼓膜に直接届きにくい一方で、通気性が悪く、湿気や汚れがこもりやすいという欠点もあります。そのため、特に垂れ耳の犬や耳毛の多い犬種では、耳のトラブルが起きやすくなります(*これだけが原因で外耳炎を発症するわけではありません)。
耳垢は「汚れ」ではない?自然に出る“耳の掃除機能”
私たちはつい「耳垢=汚れ」と思いがちですが、犬にとって耳垢は大切な役割を持つ生理的な分泌物です。
耳垢の働き
- 外耳道を保湿し、乾燥を防ぐ
- 細菌や異物を外へ押し出す
- 軽い抗菌作用を持つ
そして、最大のポイントは、耳道には「耳垢は自然に外へ出ていくしくみ=自浄作用」があるということです。
このしくみは「上皮移動」と呼ばれ、鼓膜付近の皮膚が少しずつ耳の入り口に向かって移動することで、耳垢や古い皮膚が自然に外へ押し出されます。人の肌が新陳代謝で入れ替わるのと同じような現象です。
2023年の研究によると、犬の鼓膜表面でもこの上皮移動が活発に行われており、耳垢を自然に排出する能力があることが明らかになっています。この“耳掃除機能”があるからこそ、健康な犬に対して頻繁な耳掃除は基本的に不要とされているのです。
耳掃除は「やりすぎ」に注意!正しいケアのポイント
「耳掃除は愛情」と思って頻繁に行っている方もいるかもしれませんが、やりすぎは逆効果になることも。以下のようなリスクが知られています。
耳掃除のやりすぎで起こるトラブル
- 上皮移動が遅れる(研究でステロイド点耳薬もこれを抑制することが示唆されています)
- 外耳道を傷つける
- 耳の中のバリア機能を壊す
- 洗浄液を使用する場合は、過度に湿潤な状態を作ることで炎症を誘発する可能性(洗浄液の種類や実施方法に依存します。状況によっては耳洗浄は必須となる重要なケア治療方法ですが、普段のケアとしてはあまり一般的ではありません)
健康な犬では、耳掃除は月に1〜2回程度、外耳の軽い拭き取り程度で十分です。特に耳垢が少なく、においも気にならない場合は、無理に掃除する必要はありません。
耳掃除が必要なサイン
- 耳を頻繁にかく、頭を振る
- 強いにおいがある
- 赤み、腫れ、膿状の耳垢が出る
- 耳垢が黒くベタつく
このような場合は耳トラブル(外耳炎、中耳炎など)の可能性があるため、自己判断で掃除せず、まずは動物病院で診察を受けましょう。
耳掃除をするときのポイント
- 綿棒は使わず、コットンやガーゼで外耳部を優しく拭く
- 洗浄液を使う場合は、犬専用のイヤークリーナーを使用
- 点耳薬を使うときは必ず獣医師の指示に従う
犬種や体質によって耳垢の出方や耳の状態は異なります。「うちの子に合った耳ケア」を獣医師と一緒に見つけていくことが大切です。
まとめ
犬の耳は自らキレイにする力を持っています。過度な耳掃除はかえってトラブルのもとになることも。正しい知識と観察で、愛犬の耳を健やかに保ちましょう。
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