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このたび上記の研究とは別の研究機関が、ヴィーガンフードと飼い主が愛犬の健康に対して認識していることとの関連を調査し、その結果が発表されました。
研究を行なったのはイギリスのリバプール大学生命医科学研究所の研究チームで、2022年に発表された研究結果とは異なる結論を出しています。
リバプール大学の研究者は2022年の研究について、「この研究は飼い主の調査データに頼っており、食事の種類と犬の健康との関連は相関関係の可能性を示唆するだけで、因果関係を示すものではなかった」と述べています。(相関関係=AとBの事柄に何らかの関連性がある、因果関係=Aを原因としてBが変動すること)
2022年の研究では、犬の年齢、犬種、飼い主の年齢、飼い主の性別、学歴、飼い主の食事内容など、他の変数による可能性との交絡の影響が調査されていません。(交絡=2つ以上の原因が互いの効果を修飾すること)
つまり2022年の研究での「ヴィーガンフードは健康的で危険の少ない選択である」という結論は正確ではなかったと、この研究の著者は述べています。
研究者らは、元の研究のデータについてさらに統計解析を行ない、元の研究の結果変数の1つである犬の健康に対する飼い主の意見を調査するため、先の研究とは異なるモデリング技術を利用しました。
犬の健康に対する飼い主の見解は、犬の年齢と最も強く関連していました。また飼い主と犬の食事、飼い主の年齢、飼い主の教育、犬種のサイズなども犬の健康への見解に影響していました。
しかし、飼い主の犬の健康に対する意見とヴィーガンフードの給与との関連は最小でした。
今回の再検証の結果は、どのような食事が犬にとって実際に最善なのか結論を出すことはできないことを示しています。しかし食事以外の変数が、犬の健康に関する飼い主の意見とより強く関連しているとは言えるとのことです。
2022年に発表された「ヴィーガンフードは従来のフードに比べてより健康的である」という飼い主の見解を再解析した結果、ヴィーガンフードが飼い主の認識する犬の健康状態に及ぼす影響は、限定的であると結論づけられたことをご紹介しました。
全ての犬に対して理想的なフードというものはありません。飼い主の信念や思い込みとは一線を引いて、犬の身体状態をよく観察してベストな選択をすることが大切であると、再認識させられる研究結果と言えます。
《参考URL》
Vegan versus meat-based dog food: Guardian-reported indicators of health
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0265662
Variables associated with owner perceptions of the health of their dog: Further analysis of data from a large international survey
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0280173