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東京・港区にある「高輪ゲートウェイシティ」を走っている不思議な乗り物「iino」をご存知ですか?
敷地内を自動で周回する「自動走行モビリティ」という種類のこの乗り物。先日Xで話題になっていたので、実際の乗り心地を体験してきました。
自動走行モビリティ、という聞き慣れない名称もさることながら、まず気になるのが「iino」の見た目。
「iino」は最大3人で楽しめる、立ち乗り専用の乗り物です。
木目調の落ち着きがある見た目をしており、足置きとなる長方形のベースの上に、持ち手となるボディが乗っています。持ち手はブーメランを何層にも重ねたような独特な形状。全体的なフォルムは、エルゴノミクスマウスのような人間工学に基づいたデザインを彷彿とさせます。
「これ本当に乗り物?」とついつい目を疑ってしまいますね。
走行速度は時速5キロ。人が歩くよりもほんの少しだけ早いです。ただ、「iino」の50センチ以内に近づくと減速してくれます。
「iino」は高輪ゲートウェイ駅の南改札を出てすぐの左手、「Area Information &Mobility」(以下、AIM)と案内が出ている建物の前に停まっています。筆者が訪れたときには2台が稼働していました。ちなみに料金は無料です。
平日昼間ではあったものの、そこそこの賑わいを見せており、老若男女を問わずさまざまな人が乗降していました。
どこから乗るのがベストなのか分からず、動いている「iino」を見つけてとりあえず追いかけていきますが、時速5キロなので歩きだとわずかに追いつきません。
追いつきそうになってもすでに乗っている人がいるので「相乗りしていいのか?これ」というためらいが生じ、なかなか飛び乗れない。そのうちに去っていく……。
諦めて発着場所である「AIM」の前で待ちます。
しばらくすると人を乗せた「iino」が戻ってきたので、交代で乗り込んでみました。
乗るにあたって特別な操作などは必要なく、3か所用意されている足場のどこかに立てばいいだけ。乗り込むと「iino」はほんの少し加速して走り出します。走行中は転落防止のため、手すりにつかまります。
ゴトゴトとタイヤが転がる音、モーターの駆動音、そして神秘的なBGMを聴きながら運ばれていきます。早歩きくらいの速度が、ちょうどいい。
幼いころ、親が押すスーパーのカートで店内を移動していたときのことを思い出しました。あれに近い感覚です。楽しい。
取材日は天気が良く、風もほどよく吹いていたので乗り心地は快適。特定の建物が近づくと自動で音声ガイドも始まるため、単なる移動手段というよりは、ちょっとしたアトラクションのようでした。
ただ筆者1人での利用だったので、少し寂しい……。高輪の風を感じながら、ひとりきりで運ばれていく様子に、どこか“ドナドナ”のような切なさも抱きました。
操作の必要はなく、コースはあらかじめ固定されています。高輪ゲートウェイシティの正面広場をぐるりと周回する形。
降りるときは、持ち手にある「Slow」の文字に手をかざすだけ。減速して、降りやすくしてくれます。
一応「AIM」の前が発着場所になってはいるものの、乗り降りは自由。どこから乗っても、どこで降りてもOKです。観光バス的にコースを1周する人もいれば、お試し程度に数十メートルだけ乗って降りる人も見受けられました。
「iino」のコースは季節やイベント時などで随時変更されるため、足を運ぶたびに違う発見や楽しみ方ができそうです。
不思議な形の、ちょっと未来な乗り物「iino」。高輪ゲートウェイシティに足を運んだ際には、ぜひ楽しんでみては。
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025051705.html