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東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出に関するニュースが連日報じられるなかで、同時に良く耳にするようになったのが「処理水」に含まれる「トリチウム」です。
そんな状況に便乗しようとしたのか?「フリマサイト」にとんでもない商品が出品されていました。それは「低トリチウム水」という、謎の商品。
そもそも「トリチウム」とは?という点についてですが、環境省のホームページを引用すると、以下のような説明が行われています。
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「トリチウムとは、日本語で「三重水素」と呼ばれる水素の放射性同位体です。一般的な水素と同じように酸素と化合して水分子を構成することから、身の回りでは水分子に含まれる形で存在するものが多く、大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水にも含まれています。トリチウムは水分子の一部になって存在しているため、多核種除去設備等での除去は困難です。トリチウムは、原子力発電所を運転することで人工的に生成される以外にも、自然界で宇宙線により生成されます」
(環境省「トリチウムの性質」より引用)
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説明を参考にすると、トリチウムとは普段の生活の中でごく自然に接しているもの。「大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水」などから日常的に我らは接しているようです。
そんな中、ネットで注目を集めていたのがオンラインフリーマーケットサイトに出品された「低トリチウム水」。「トリチウムをあまり含まない」水だと紹介されていました。なお、この商品は既に販売ページが削除されています。
次の画像が、オンラインフリーマーケットサイトにあった「低トリチウム水 500cc」の商品ページ。見た目はごく普通のペットボトル入りの飲料水のようです。ただ価格は24本で7万円と、1本あたりに換算すると3000円弱という、非常に高価。
「処理水」に含まれていることから「トリチウム」という単語だけが一人歩きしていますが、環境省のホームページにも記載がある通り、「トリチウム」は本来「水道水」にも含まれているもの。日常接する「大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水」程度の量ならば、問題ないはずです。
しかしながら「低トリチウム水」は説明で、水道水などよりもそれが「抑えられている」ことをウリにしています。
また、「トリチウムをあまり含まない、低トリチウム水を独自技術により販売します」「飲み水や料理としてはもちろん、日々の手洗いうがいにもご利用いただけます」とのことですが、水道水より「低い値」だとどのようなメリットがあるのかまでは書かれていませんでした。あとどうやって低トリチウム水にしているかの説明も無し。
恐らくですが、これは「処理水」「トリチウム」という単語に触れ、過剰に恐れた人たちを相手にした「不安商法」の一種ではないかと考えられます。
この、「低トリチウム水」の販売についてネットでは「始まったな、低トリチウム水」「こんな出処不明な水買う人いるのかな?」「これぞ水商売」などの意見が寄せられ、注目を集めています。
また心あるネットユーザーらが声をかけあい、オンラインフリーマーケットサイトの運営側に通報するという動きも。このためか、本稿執筆時においては全てのページが削除されていました。とはいえ、再び出てくる可能性は否めません。
なお、商品販売ページには食品衛生法の基準を満たしているか否かについては一切書かれていませんでした。もちろん製造元なども不明。また商品が説明通りのものなのかも不明。食品衛生法、景品表示法どちらにもひっかかる可能性が考えられ、もし見かけたとしても購入しないほうが良いと言えるでしょう。
<参考>
トリチウムの性質(環境省)
トリチウムって何?(経済産業省)
(たまちゃん)