スペインのバルセロナで2月27日~3月2日まで開催するモバイル関連の展示会「MWC Barcelona 2023」。開催初日の2月27日に、「オープンRAN導入の最前線」をテーマにパネルディスカッションがおこなわれ、オープンRANサービスブランド「OREX」の開始をドコモOREXエバンジェリストの安部田貞行氏が紹介しました。

 パネルディスカッションには安部田氏の他に、ドコモがオープンRANの導入を支援する海外通信事業者として、イギリスのVodafone Group PlcのFrancisco Martin氏、アメリカのDISH WirelessのSidd Chenumolu氏、シンガポールのSingtelのCheng Choon Si氏が登壇。

 パネルディスカッションが始まると、オープンRANに関する各社の検討状況が紹介された他、技術検証の進捗や導入に当たっての課題など、活発な意見交換がされました。

 安部田氏は「OREXはオープンRANソリューションの提供を簡単にします。システム統合、相互運用、ライフサイクルマネジメントを簡素化することで、通信事業者はより容易にオープンRANを商用導入できる」とコメント。Sidd Chenumolu氏も「私たちは完全にオープンRANの流れに乗っています。オープンRANのパフォーマンスと、実現されるエコシステムを非常に楽しみにしている」と期待を寄せている様子。

 「オープンRAN は、私たちにとって、そして通信業界全体にとって、より多くのベンダーを取り込み、誰もがより多くの選択肢を持てるようになる重要な技術だと考えている」と、Cheng Choon Si氏。ブラウンフィールドにおけるこの技術を評価しており、「シンガポールのような人口密度の高い場所で、オープンRANの技術がどのように適用できるかを検証している」と語ります。

 ドコモと同じビジョンを共有しているというFrancisco Martin氏は、オープンRANは実現しつつあるといいます。さらにこの動きを継続して、その可能性を十分に引き出すためにはお互いに協力し合う必要があり、「それこそが私たちの責務」と強調します。

 今後の課題についても白熱して議論が交わされ、Sidd Chenumolu氏は「オープンRANのためのシステム統合は、誰もが言及する共通の課題」と発言。Francisco Martin氏も「コストを下げて潜在能力を引き出し、イノベーションを可能にするためには、今後1~2年でおこなうべきことがまだある」と課題について言及します。

 しかし、「以前は不可能だった、いくつかのパートナーとの協業が実現している」ことを述べ、それにより「今までできなかったイノベーションを実現できるようになる」との見通しを立てていました。

 Cheng Choon Si氏は「今回、発表されたOREXはとても良いアプローチ」と評価。Francisco Martin氏も「オープンRANが通信業界の未来であることに疑問はありません」とコメント。

 安部田氏も「オープンRANの拡大には、シェアリングが重要」と考えを示します。「私たちは、通信事業者が自ら検証をしなくても良いように、自らのラボを用意せずリモートでアクセスできるように、『シェアドオープンラボ』を用意している」「2023年をオープンRAN の『A defining year』(オープンRAN元年)にしていく」と、力強い宣言がありました。

情報提供:株式会社NTTドコモ

(佐藤圭亮)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 2023年は「オープンRAN元年」にする!バルセロナで「オープンRAN導入の最前線」についてパネルディスカッション