2022年5月に公開された映画「シン・ウルトラマン」。

 中でも俳優・山本耕史が“ヒト形態”を好演し、独特の言い回しが「構文」としても話題となったのが外星人「メフィラス」です。

 「上位存在」であることを殊更に切望した「トリックスター」ぶりが印象的でしたが、実際に崇めるため専用の「彫像」をファンアートとして制作するファンが現れました。

「明日(11月18日)からはAmazon primeでとうとう #シンウルトラマン 配信ですね!
 みんな大好き人類の上位存在、メフィラス山本耕史を上位存在として崇めるための木彫像を彫りました。しばらく前からコツコツ作っていましたがようやくの完成です」

 作品をTwitterで公開したのはりくほさん。趣味で二次創作を中心としたイラスト描写や、フィギュア・模型の製作や改造を行っています。

 また、仕事で使用することもあり、余った木の端材を用いて行っているのが彫刻作り。「自分にとっては手軽な『創作』なんですよ」というほど慣れた技法で制作したのが本作です。

 「劇中の『上位概念』としての存在をさせてほしいという姿を見て、『ならば仏像や神像の木彫りのように作れば面白いのでは?』と、頭の中で繋がったのがはじまりでした。作り始めたとき(8月)は、まだフィギュアや立体物が発売されておらず、単純に自分が欲しかったのも理由です」

 細身な格闘家を連想するようなプロポーションに、目元のバイザー、脚部のギザギザ模様が特徴的なのが「シン・ウルトラマンのメフィラス」。りくほさんは、「木彫り」で克明に再現しています。

 加えて、「崇拝」という要素も取り入れるため、別途制作したのが「台座」。

 「簡易なものですが、『少しでも高尚な彫像として見えるといいなあ』と思って作りました。本体だけですと、今後発売されるフィギュアにどうしても見劣ってしまいますので」

 さらに劇中で「山本耕史」に差し出された「名刺」は、内容はそのままに「光背」へと“差し替え”。後光のかわりに、メフィラスが「上位存在」であることをより視覚的に認識させるものとなっています。

 8月から3か月ほどの制作期間を経て、完成にいたった本作。メフィラス像単体で約24センチ、台座ならびに名刺を加えると約30センチのサイズ感になっています。木彫りで精巧に仕上げていることもあり、作業は困難を極めたかと思いきや、自身としてはそうでもなかったそう。

 「特に脚部分の模様は、気の遠くなりそうな作業に思われがちなんですが、そこは地道にコツコツとやればだんだんと様になっていくので、自分としては楽しい作業でした」

 「それよりも、『作り始めるはいいが、終わり(完成)が見えてくると“放置”する』という私の悪癖で一時期手つかずになってしまい、再開まで中々やる気が起こりませんでした。(アマゾンプライムで)配信発表で背中を押されたのが良かったです(笑)」

 その勢いもあってか、実はりくほさんは、像をおさめる「御堂」制作に新たに着手。同じく木の端材を使い、「メフィラス神社」の“建立”を目指しています。

 完成の暁には、「メフィラス」は本当に崇拝の対象になっているかもしれません。「郷に入っては郷に従う」、私の好きな言葉です。

<記事化協力>
りくほさん(@__6ho)

(向山純平)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 木彫りにて生まれし上位存在「メフィラス」 ファンが「崇める用」を制作