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日本では古くから縁起物として広く親しまれているだるま。一般的には白い目に黒目を書き入れて、物事の成就を祈願するものですが、これを陶芸家の今井完眞さんが、実にユニークな方法で表現しました。
それはだるまの目に義眼を用いるというもの。もちろんそれだけでなく、今井さんはだるま本体も手作りし、目の周りまでリアルな人間のような質感に仕立てました。まさに「目力の強い」だるまに、ドキッとした方も多いのではないでしょうか?
普段は主に生き物をモチーフにした作品を多く制作している今井さんが、今回だるまをモチーフにした作品を制作したのは、10月に横浜で開催を予定している自身の個展に展示するためでした。
実は、だるまの目に義眼を用いるというアイデア自体は過去にも試したことがあり、あわせて目の周りまでリアルに表現する、という手法は当時の作品から用いられていました。
目玉がリアルであるからこそ、単純に目を入れただけではなんとなく気持ち悪い……と感じた今井さん。そこで、上下のまぶたまで人肌のように作り込んでみてはどうか?と閃き、人間の目を持つだるまが誕生しました。
そんな過去の作品を、今回再度制作するに至ったのは、知人に言われた「また作ったら?」という一言がきっかけ。もちろん、当時の作品よりもさらにリアルさが追求されています。
作品に用いる義眼は、100年ほど前に作られたというドイツ製のもので、今作のために購入しました。今井さんを以てして「クオリティが高い」と言わしめるほどお気に入りのアイテムです。
加えて、目の周りやまぶたも、薄くピンクがかった色や細かいシワなど、より人間の肌らしく仕上がっています。その質感は、触ると柔らかいのでは?と錯覚してしまうほど。
ツイッターへの投稿にも、「本当に生きているかと思いました」「すご……命が宿ってますね……」と、感心の声が多数。4万件を超える「いいね」が寄せられるなど、作品を見た多くの方を驚かせました。
作品の出来栄えについて、今井さんは「まだダルマは作り慣れていないので、試行錯誤の余地ばかりですが、これはこれで愛着がありますね」と、おおむね満足といった様子。義眼はまだたくさんあるようなので、今後の今井さんの作品に、どのように生かされていくのかも、気になるところです。
<記事化協力>
今井完眞さん(@sadamasaimai)
(山口弘剛)