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主に1950年代~60年代の洋楽を指す「オールディーズ」。それとセットで当時のアメリカ風俗も好まれていますが、なかでも「フルサイズ」と呼ばれる大きな車体のアメリカ車は、人々を魅了してやみません。
その代表格といえるのがGMのキャデラック。特に巨大なテールフィンで知られる1959年型が、切り絵作家の黒猫モモさんの手で切り絵になりました。懐かしいキラキラした日々を思わせる、魅力的な仕上がりです。
黒猫モモさんは、伝統工芸の型紙彫刻(染色の柄を切り抜いた型紙)を学び、その技術を切り絵に落とし込んで表現している作家さん。
特に機械や飛行機、車、バイク、建物など、人の手で生み出されたものをモチーフにすることが多く、伝統的技術を用いて切り絵化しており、エアブラシや様々な種類の紙を使った色鮮やかで深みのある表現が特長です。
今回の作品「閃々(せんせん)」のモチーフにした1959年型キャデラック・エルドラドは、黒猫モモさんが大きなテールフィンに一目惚れして「派手で目立つものを作りたい」と選んだんだそう。メッキのパーツがふんだんに使われた、豪華なフロントマスクが描かれました。
この当時のアメリカ車は、ジェット機や宇宙船といった未来的なイメージをデザインに取り入れているのが独特なところ。ヘッドライトの下にある楕円形のランプケースは、ジェット機の空気取り入れ口がデザインのモチーフになっているんだとか。
黒画用紙を切り抜いただけでも、メッキパーツ独特の照りやツヤといった質感が伝わってきます。フロントグリルの細かい造作、ヘッドライトのレンズカッティングもいい雰囲気。
どのような色で仕上げていくかは、様々な素材を切り絵に透かして具合を検討していくんだそう。今回はキラキラ、ツヤツヤの質感を表現するため、ホログラム系の折り紙やシルバーの画用紙、透明セロファンなども用いられたといいます。
キャデラックの色は、ブルース・スプリングスティーンの曲や、クリント・イーストウッド監督の映画でも知られる「ピンク・キャデラック」のピンクに決定。濃淡の異なるものを裏に貼り込み、陰影をつけていきます。
メッキパーツのキラキラ感は、ホログラム系の紙を使っています。ランプのレンズ部分など、必要のない部分は切り抜かれ、貼り付けられます。
完成した絵を見ると、メッキパーツにカクテル光線が当たってきらめいている様子や、ツヤツヤしたピンクの塗装面がかっこいいですね。まさに「Oldies but Goodies(古いけどかっこいい)」という感じで、まるでステンドグラスのようにも見えます。
黒猫モモさんの公式サイトには、このほかにも模型誌「SA(スケールアヴィエーション)」で連載された飛行機の作品や、動物、風景、型紙彫刻など様々な作品が公開されています。いつまでも見飽きない、素敵な作品が揃っていますよ。
<記事化協力>
黒猫モモさん(@momowanwan01151)
(咲村珠樹)