サンプル数は1であり、独断と偏見によるセレクションであることを、胸を張って高らかに宣言いたします。
猫本過多の令和時代、子ども向けの絵本に絞ってもかなりの数の猫本があり、そりゃ猫書籍専門店もできるはずだと思う次第です。
そんなご時世に「猫と暮らす乳幼児向けのプレゼントに猫絵本を」と意気込むものの、書店で選べる猫絵本の種類は書棚スペースの関係で限定的ですし、ネット書店で検索するとわんさと出てくるため、どれを選べばいいかかえって迷う方も多かろうと思います。非常に雑なデータで恐縮ではありますが、日々の観察の結果、妙に乳幼児受けが良かった3冊を紹介しますので、プレゼント用猫絵本選びの参考にしていただければ幸いです。
『ネコヅメのよる』(町田尚子 著/WAVE出版)
それはある夜のことだった。通報を受けた警察官が現場へ駆け付けると、そこに残されたのは地球でもっとも硬い食べ物とも言われるかつお節。かつお節の表面には無数の傷、剥がれ落ちた猫の爪。犯人がかつお節に刻んだメッセージとは。犯人を追う刑事猫の爪から検出されたかつお節の破片が物語る隠された過去とは。そして夜だけに現れる「ネコヅメ」の正体とは…。
という謎が謎を呼ぶ痛快猫ミステリーでは、まったくないんですが、謎のネコヅメを追って猫たちがわさわさするお話である点は間違いありません。
表紙を飾る妖しい猫は、作者の町田尚子さんと共に暮らす「白木」がモデル。AB判見開きサイズに描かれた猫顔のどアップに、1歳児は口をあんぐり開けてジッと凝視。自分の顔よりも大きな猫の顔に出会うべく、今日も自ら立ち上がって本をつかみ取り、ペラペラとページをめくります。
大人が読んでも楽しんで驚ける巧みなストーリー展開で、なおかつリアルな質感で多彩な毛色の猫が満載となっておりますので、乳幼児の猫親近感をアップさせる教本として活用いただけるかと思います。
『みゃーん みゃーん』(村松カツ 作/福音館書店)
『こどものとも 0さい1さい2さい』の2016年6月号として配本された『みゃーん みゃーん』の黒猫ちゃんも、1歳児には大人気。いろんな動物さんのところへ突撃訪問して、いきなり遊んでもらうという展開は、子どもを連れて道を歩くとやさしく声を掛けていただく昨今の世間の優しさを感じさせる次第であります。
日々の猫との生活で鍛え上げられた、江戸屋猫八師匠張りの「みゃーんみゃーん」という猫撫で声を響かせて読み聞かせしておりますと、パチャピチャピョンピョンツルツルパタパタトコトコと遊ぶ黒猫さんと一緒に遊んでいる気になるらしく、読後のご機嫌麗しゅうございますな率は、高め安定をキープしていた一冊であります。
現在はすでに版元でも品切れとなっておりますが、値下げ要請コメントが来たのでその価格に変更したのに「予算オーバーです」とかいう返信が寄せられるメルカリなどで検索いただくと古本が見つかりますので、お求めはそちらをご利用ください。
『Miffy’s Favourite Things』
ある時はミッフィー、またある時はうさこちゃん、そしてある時はナインチェ。しかしてその実体は…、でおなじみのブルーナの白うさぎさんのお気に入りを1冊に集めたボードブック『Miffy’s Favourite Things』のなかにいる、黒猫ちゃんにも1歳児はご執心であります。このページを探すため、本棚の本という本を引っぱり出しページをめくり、その本の山の上に乗ってまた本を引っぱり出し…となるため、このように本の座布団の上で黒猫を見つめるのが日課となっておるようです。
こちらの1冊は古本屋で見つけた洋書のため、Amazonメルカリヤフオクでもなかなか出てきませんが、『ブルーナのどうぶつ〈1〉』に同じ黒猫さんが載っておりますので、プレゼントにはそちらをご利用ください。
読者諸兄の皆々様におかれましては、また違った調査結果をお持ちかと思われますので、さし支えのない範囲で猫本を眺めるお子さま写真などとともに、子ども受けのいい猫本情報をお問い合わせフォームからお寄せいただけると幸いです。
情報提供元: 猫ジャーナル