「突然のひらめき」で子猫を訓練

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1975年、20代半ばで失業中だったCarl Milesさんは、米国サウスカロライナ州コロンビアの下宿に住んでいました。

ある日、3匹の子猫が入った箱を抱えた少女がポーチにやってきて、「猫を飼わないか」と聞いてきたので、彼は断りました。でもすぐに心の中で「黒い猫を飼いなさい」という声がするのを感じたのです。このため彼は少女を呼び戻して、黒い子猫1匹を引き取りました。

猫の名は「Blackie」です。生後5ヵ月ほどに成長した猫をひざに乗せて遊んだり、話しかけたりしていたときのことです。再び頭の中で声がしたのです。「猫があなたに話しかけようとしている」と。

その瞬間、彼はBlackieに人間の言葉を教えようと決意しました。そして1年半の間、子猫の発する音を録音し、英語に一番近い音を再生して聞かせ、訓練しました。やがて2歳の誕生日を迎えるころに猫は「愛してるよ」や「ママに会いたい」などと言えるようになったのです。

有名猫になったものの、突然の法廷闘争へ

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彼と妻のElaineさんは、さっそくハーネスをつけたBlackieを肩に担いで街を練り歩きました。

通行人が猫について尋ねてくると、Blackieに何かをしゃべらせ、25セントか30セントほどを徴収しました。彼が猫のお尻をもむと、言葉らしき音を発声するよう訓練していたのです。人々は少し想像力を働かせれば、まるで猫が話しているのを聞いたかのように感じたといいます。

こうして「おしゃべり猫Blackie」は一躍有名になりました。ラジオ番組でインタビューを受け、テレビにも出演し、さらにはレコードまでリリースしました。

1982年には、夫妻はジョージア州オーガスタで猫のマネージャーとして活動していました。そこでトラブルに巻き込まれることになります。

猫が話すことに不安を感じている地元住民からの苦情を受け、警察は夫妻を無許可営業の罪で告発しました。これに対して夫妻は「法律ではしゃべる猫を事業とは定義していないし、オーガスタ市はアメリカ合衆国憲法に定められた言論の自由を侵害している」と主張しました。

しかし裁判官は彼の主張を認めませんでした。「Blackieは夫妻の唯一の収入源であり、したがって事業に該当する」と判断したのです。

最期の言葉は「愛しているよ」

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判決を不服として控訴した夫妻でしたが、連邦裁判所は理解を示してくれませんでした。1983年、裁判所は「猫は企業を代表していない」という夫妻の主張は「全く根拠がない」と判断し、下記のように断定したのです。

「本裁判所は、Blackieの言論の自由が侵害されたという主張を審理しない。第1に、この猫は非常に珍しい能力を持っていると言えるかもしれないが、人間とはみなされず、したがって権利章典の保護対象にはならない。第2に、たとえ猫にそのような権利があったとしても、控訴人がその権利を主張することはできず、しゃべる猫であるBlackie自身が発言すべきものである」

敗訴した夫妻は結局営業許可を取得し、おしゃべりな愛猫をブランドにしたTシャツの販売を続けましたが、Blackieの人気は衰えていきました。1989年に営業をやめてサウスカロライナに戻ったのち、1992年になってBlackieは18歳で亡くなりました。

動物病院の駐車場で、Carlさんと愛猫は最期の会話を交わしました。

「Blackieは私を見つめて『愛しているよ』と言いました」

彼と妻は自宅の裏庭に愛猫を埋葬したといいます。

出典:
Do Cats Have a Right to Free Speech?
A Talking Cat Fought the Law, and the Law Won
The Tale of Blackie the Talking Cat: Miles v. City Council (1982)


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情報提供元: ねこちゃんホンポ
記事名:「 法廷闘争まで巻き起こした「人間の言葉をしゃべる天才猫」 最期の言葉は「愛しているよ」米国