社会化期の大切さ

生後2〜7週齢頃の子猫は、乾いたスポンジが水を一気に吸収するように、短期間にとても多くのことを学び、身につけていきます。それは、まだ警戒心が芽生えておらず、旺盛な好奇心に従ってさまざまな動物や人、状況に物おじせずに挑んでいけるからです。

この時期に「嫌なこと」や「良いこと」をたくさん経験できると、どうすると危険な目に遭い、どうすれば良い思いができるのかといった、社会の中で生きていくために必要な事柄を身につけます。そのためこの時期は社会化期と呼ばれています。

愛猫をお客さんにフレンドリーな猫に育てたければ、社会化期に大勢の方と楽しい経験をさせることをおすすめします。社会化期に人とあまり接することのなかった猫は、人を過剰に警戒し、来客中はずっと室内の物陰に隠れて姿を現さないような猫に育つでしょう。

ただし、社会化できずに臆病な猫に成長しても、根気よく「お客さんは怖くない、良いことをしてくれる」と覚えてもらえれば、少しずつお客さんにも慣れ、かなり臆病な猫でも隠れてずっと出てこないといったことは無くなる可能性があります。

社会化が不十分なまま成長した猫を少しでもフレンドリーにするための接し方や、社会化期に避けるべきNG体験をご紹介します。

お客さんに慣れさせるための方法

1.特定の協力者を見つける

社会化できずに成長してしまった猫に、いきなり不特定多数の人と触れ合う経験をさせるのは、逆効果です。飼い主さんが信頼できる、猫好きまたは猫が嫌いではないという方を1名選び、その方にふれあいトレーニングの協力をお願いしましょう。

トレーニングは数回で終わるようなものではありません。時間をかけて何度も繰り返すことで少しずつ効果が現れますので、根気よく協力してくれる方を探してください。

2.猫の存在を無視して静かに過ごしてもらう

協力者には、猫の存在を無視してもらうように依頼します。猫と目を合わせず、逃げていく猫を見ても声もあげないでもらいます。在宅中はできるだけ静かに、飼い主さんと和やかに会話を楽しんでもらい、静かに帰宅してもらいます。

トレーニングの初期は、短時間の滞在から始めましょう。猫が慣れる様子を見せなくても、少しずつ滞在時間を伸ばしながら同じように過ごしてもらうようにします。談笑する時にも、できるだけ大きな声を張り上げることのないようにしてもらいましょう。

3.猫が姿を現しても反応しないでもらう

滞在中はずっと姿を潜めていた猫も、何度も繰り返しこのトレーニングの訪問を受けているうちに、だんだん「この人は怖くない」ということを理解してくるはずです。

初めはトイレも我慢して身を潜めていた猫が、トイレにだけはそろりそろりと姿を表すようになるなど、行動の変化が見られるようになるでしょう。その場合も、「あ、出てきた」などと反応を示さず、猫を無視したまま過ごしてもらってください。

4.猫が自ら近寄るようになったら構ってもらう

猫の警戒心が薄れやがて好奇心の方が勝ってくると、少しずつ自ら来客に近寄ってくるようになるでしょう。そうなったら、優しく声がけをしたり、指先のニオイを嗅がせたり、猫が喜ぶ部位を撫でてもらったり等、少しずつスキンシップを深めてもらいましょう。

飼い主さんとしては、手からおやつを食べさせてもらったり一緒に遊べるようになると嬉しいでしょうが、愛猫の性格にもよりますので、様子を見ながら最終目標を調節してあげましょう。

5.少しずつ協力者を増やして多くの人に慣れてもらう

協力者に対して猫がフレンドリーな態度を見せるようになってきたら、少しずつ協力者を増やしていくと、不特定多数の訪問者に対しても過剰な反応を示さないようになる可能性が高まります。

このトレーニングのポイントは、時間をかけて少しずつ慣れさせることと、決して猫に嫌な思いをさせないことです。トレーニング以外の来客にも、事前に猫を驚かせるような行動を取らず、猫の存在を無視して振る舞ってもらうように頼んでおきましょう。

猫をお客さん嫌いにさせる社会化期のNG体験

たとえ社会化期の猫であっても、人との触れ合いで極度の恐怖を味わってしまうと、人見知りな猫になってしまいます。少なくとも恐怖体験の当事者のことは、ほぼ生涯忘れることはありません。

特に気をつけたいのは子どもです。子どもは悪気なく、猫と一緒に遊びたいという一心で猫を追いかけ、追い詰めてしまいます。筆者も、子猫時代に子どもに追い詰められた愛猫が、その恐怖体験を生涯忘れなかったという体験をしました。

我が家に遊びにきた小学生になったばかりの甥と子猫だった愛猫から目を離した隙に、甥がコタツの中に潜り込んだ愛猫をコタツの足に追い詰めた挙句、無理やりキスをしてしまったのです。結局愛猫はその甥のことを忘れず、成人になった後も避け続けていました。

愛猫にも甥にも申し訳ないことをしてしまったと反省したものの、その後愛猫の甥に対する信頼を回復することはできず、愛猫が亡くなるまでふたりの関係性は改善できませんでした。小さな子どもと猫を触れ合わせる際には、特に注意が必要だと痛感しました。

まとめ

猫が来客にフレンドリーに接することができるか、ずっと身を潜めたまま息を殺して帰宅するまでやり過ごすかは、それまでの経験に大きく左右されます。特に大切なのは、社会化期の経験です。

しかし、たとえ社会化期に人との良い経験を積めずに人見知りに育った猫でも、知人の協力を得ながら根気よく時間をかけてトレーニングを重ねれば、少しずつお客さんに慣れてもらうことができるようになるでしょう。今回の方法を参考に、少しずつ人との距離を縮めてあげてください。


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情報提供元: ねこちゃんホンポ
記事名:「 猫を『お客さん』に慣れさせることはできる?5つの方法と人を家に呼ぶときの注意点