猫に『人用のサプリ』を与えるのは絶対にダメ!特に危険な5種を解説
猫に人用サプリを与えるべきでない理由
人間と猫は、同じ哺乳類でありながら、体の作りや働きがまったく違います。特に重要なのは、次の2点です。
代謝の違い
猫は代謝の違いにより、人間に比べて特定の物質を分解・排出する能力が低く、少量でも体に大きな負担がかかることがあります。
たとえば、人間なら平気な成分でも、猫には蓄積し中毒症状を引き起こすケースが少なくありません。
必要とする栄養素の違い
猫は肉食動物であり、人間と比べて必須栄養素(タウリンなど)の種類が異なります。人間用に設計されたサプリは、猫にとって不要どころか、かえって有害になる成分が含まれていることもあります。
誤ったサプリメントの摂取は、肝障害、腎障害、神経症状、最悪の場合は命にかかわる事故を引き起こすリスクをはらんでいます。たとえ「健康によさそう」と思っても、猫専用のサプリ以外は絶対に与えないという意識が必要です。
特に危険な人用サプリメント5種
人間には健康効果をもたらすサプリメントでも、猫にとっては命にかかわる毒になることがあります。ここでは、特に注意が必要な代表的な成分を5つ紹介し、なぜ危険なのかを具体的に解説していきます。
1.ビタミンDサプリ
ビタミンDは、人間にとって骨の健康維持に欠かせない栄養素です。猫も同様ですが、体内で作ることができないため、食事などで摂取をする必要があります。
しかし過剰に摂取すると、血中カルシウム濃度が異常に上昇し、食欲不振、嘔吐、腎臓障害といった深刻な症状があらわれます。
中毒が進行すると、腎不全や心臓機能障害に至る可能性もあり、最悪の場合命を落とすことも。ビタミンDを含むサプリを与える場合は、猫用のものを規定量与えるようにしましょう。
2.鉄分サプリ
鉄分は貧血予防に役立つ栄養素ですが、猫にとっては過剰摂取による鉄中毒のリスクがあります。消化器への刺激で嘔吐や下痢を引き起こし、さらに進行すると肝障害、心臓障害に発展することも。
重篤なケースでは、多臓器不全を起こして致命的な状態に陥る危険性もあります。
3.亜鉛サプリ
亜鉛も人間には欠かせないミネラルですが、猫にとって過剰摂取は命取りになります。非常にまれですが、亜鉛中毒を起こすと、胃腸炎、嘔吐、下痢の発生につながることも。
また、重度の場合、赤血球破壊(溶血)を引き起こし、深刻な貧血状態になるリスクもあり得ます。
4.ハーブ系サプリ(エキナセア・セントジョンズワートなど)
「自然由来だから安心」と思われがちなハーブ系サプリですが、これも猫には危険です。特にエキナセアやセントジョンズワートは、猫の肝臓に負担をかけたり、薬物代謝に悪影響を及ぼす可能性があります。
薬を服用している場合は、薬の効果が弱まったり、逆に副作用が強まるリスクも。自然だから大丈夫という思い込みは禁物です。
5.アロエ含有サプリ
アロエには抗炎症作用があるとされますが、猫が摂取すると下痢、嘔吐、脱水症状を引き起こす場合があることが知られています。特に、アロインという成分が腸管を刺激し、重度の脱水や電解質異常を引き起こす危険があります。
慢性的な摂取では、体力低下や内臓機能障害にもつながるため、猫にアロエ成分を含むサプリを与えるのは絶対に避けましょう。
猫に人用サプリを与えてしまったら?
うっかり人用サプリを猫に与えてしまった──そんなとき、慌てる気持ちはよくわかります。ですが、すぐに適切な対応を取ることが命を守るカギになります。
ここでは、間違えて猫に人用サプリを与えてしまった場合の初動対応をまとめました。
獣医師、または夜間救急動物病院へ連絡する
まず何よりも、時間をおかずに専門家に連絡しましょう。かかりつけ病院が診療時間外であれば、夜間救急動物病院でもかまいません。
「様子を見ようかな」と思う時間すら、猫の体には負担になります。連絡時には、落ち着いて状況を説明できるよう準備を。
与えてしまったサプリの成分・摂取量・時間をメモして伝える
獣医師への連絡時に必要な情報は以下の通りです。
- サプリメントの商品名
- 含まれている成分(可能なら成分表の写真を撮っておく)
- 猫が摂取したおおよその量
- 与えてしまった時間(何分前、何時間前)
この情報があるかないかで、初期治療の選択肢が大きく変わるため、できる限り正確に伝えましょう。
自己判断で吐かせたり、市販薬を使ったりしない
「早く吐かせたほうがいいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、絶対に自己判断で吐かせてはいけません。一部の成分は、吐かせることでかえって食道や胃にダメージを与える可能性もあります。
また、人間用の下剤や胃薬を使うのも非常に危険です。治療方針は獣医師に任せるのが鉄則です。
指示が出るまでは猫を安静にさせ、異変を観察する
獣医師から移動指示が出るまでの間は、猫を静かな場所に移し、なるべくストレスを与えずに安静にさせましょう。また、以下の点を注意深く観察して、すぐに伝えられるようにしておきます。
- 嘔吐、下痢、よだれ
- 呼吸が荒くなる、苦しそうにしている
- ふらつき、けいれん
- ぐったりして反応が鈍い
これらの変化は、中毒症状が進行しているサインかもしれません。小さな変化も見逃さず、即座に対応できるように備えましょう。
まとめ
猫の体は、私たち人間が想像する以上に繊細です。人間用に設計されたサプリメントは、猫にとっては「命のリスク」になりかねません。
「健康に良いことをしてあげたい」──その思い自体は素晴らしいもの。でも、方法を間違えれば逆効果になってしまうことを、しっかり心に留めておきましょう。
愛猫には、猫専用に設計された安全なサプリメントだけを与える。このルールを守ることが、愛情を本当のカタチに変える第一歩です。
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