猫が劇場のネズミ退治に従事

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英国では長い間、猫は幸運をもたらすと信じられていました。このため、劇場で猫を飼う伝統が生まれたのです。

シェークスピア以前の時代、航海を終えて陸に戻った船員たちは、縄結びや大工道具の使用がうまかったために、劇場の舞台裏で仕事に就きました。そのとき船に乗せていた猫も一緒に連れて行き、劇場内の害虫駆除をさせたのです。

当時は観客が食べ物を山ほど抱えて劇場を訪れ、食べながら芝居を見たり、つまらないと舞台に向けて食品を投げつけたりしていたので、残飯がネズミを引き寄せてしまったためです。

猫はネズミを狩るだけでなく、多くの俳優たちにとって「幸運のお守り」でした。経験の浅い俳優が舞台恐怖症に陥ったとき、猫が気持ちを和らげてくれます。劇場の猫はときに公演中の舞台をうろつき、俳優の邪魔をして観客の笑いを誘うことさえありました。

楽屋を占領し、舞台にも登場

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なかでももっとも有名な劇場猫がBeerbohmです。この猫の名は舞台俳優Herbert Beerbohm Treeにちなんでいます。Beerbohmは1970年代から20年間、ロンドンにあるギールグッド劇場でネズミの駆除にあたりました。

Beerbohmは非常に威厳のある猫で、公演中、特定の俳優の楽屋を占領していました。そして毎日最低1回は舞台に登場して人気俳優を圧倒し、みんなを驚かせたりもしています。

好奇心旺盛な猫で、役者の帽子に飾られた羽根を食べてしまったり、セットの飾りだった鳥の剥製を攻撃して壊してしまったりしました。ある場面のためにたくさんの砂が舞台に運ばれてきたときは、「こんなに大きなトイレを用意してくれて、ありがとう」とばかりに、さっそく用を足したこともあったとか。

死亡記事は新聞の第1面に

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劇場の近くの交通量の多い道路で車にひかれて、一時は重傷を負ったのですが、それでもBeerbohmは生き延びました。

引退後は劇場に勤務していた大工さんに引き取られ、ロンドンを離れてケントに引っ越しました。1995年3月に亡くなったとき、多くの劇場関係者やファンがこの猫の逝去を悼み、演劇新聞「The Stage」の第一面記事でその死亡が伝えられたほどでした。

ギールグッド劇場には、現在でもこの猫の肖像画が飾られています。

2009年に俳優組合は「ロンドンの歴史的な劇場で再び猫を飼おう」というキャンペーンを開始しました。これらの劇場やロンドン中心部の多くの建物がネズミの被害に悩まされていたからです。

しかし結局、劇場猫のアイデアは実現しませんでした。ご飯が豊富になった現代では、多くの猫がネズミに興味を示さなくなったというのも理由のひとつだったようです。

というわけで、今後もBeerbohmの活躍を超えるほど優秀な「劇場猫」は現れにくいことでしょう。

出典:
Cat Story: Beerbohm The Theatre Cat
Theatre Cats


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情報提供元: ねこちゃんホンポ
記事名:「 英国史上もっとも有名な「劇場猫」舞台に乱入、セットを破壊…破天荒な猫生を全うし、伝説へ