室内飼育の猫に見られる『死の前兆』5選 猫たちが教えてくれる“お別れ”のサインとは
1.極端に甘える
猫は体調の悪化を自覚すると、本能的にどこかに隠れてひとりで静かに過ごそうとする傾向があるとされてきました。
ところが、個体差はありますがかなり衰弱が進むと飼い主さんに極度に甘えだす猫もいます。このときは、元気だったころのように足元でスリスリするとは限りません。飼い主さんの姿を見ては鳴いて、そばにいることを要求したり、フラフラと近づこうとしたりする姿が見られます。
これは、大好きな飼い主さんを、「安心できる場所」として求めている可能性があります。時間が許す限り、そばにいてあげるようにしましょう。ただし、痛みをともなう病気がある場合、撫で続けると猫が体力を消耗する可能性もあるため、直接触れるときには猫の負担にならないよう注意しましょう。
2.視線が合わなくなる
猫は犬のように飼い主をみつめてアイコンタクトを取る習慣はありませんが、元気な時には、名前を呼べばこちらを向くことが多くあります。
しかし、衰弱が進んで死期が近づくと、だんだんと視線が合わなくなることが増えてきます。脱水や電解質バランスの不調から意識の朦朧が起こり、目を開けていても、空中をぼんやりと見るように焦点が合わなくなるのです。
身体にすこしでも力があれば、目を開けて「見る」ことが当たり前のようにできますが、末期になってくると、視覚に対する反応が薄れる場合があります。意識が混濁して、呼びかけても反応しないこともあるかもしれません。
3.寒いときも冷たい場所に留まる
死期が近づいた猫には、玄関やお風呂場のタイルなど冷たい場所に行きたがる行動が見られます。猫は38〜39度前後で体温を保っています。しかし、衰弱して臓器の働きが弱くなると血圧・血液循環が悪くなり、平熱を下回る低体温と呼ばれる状態になります。
すると、今度は、必要なエネルギーを生み出すことができなくなるため、消費を最小限に抑えようと冷たい場所へ留まろうとするのだという説があります。低体温により暑い寒いなどの感覚が乱れてしまっているからという説もあります。
このケースの低体温では、臓器の機能が低下しているため、急激にあたためるとショック状態に陥る危険があります。
4.自力で排泄できなくなる
猫は身体が弱っても最後まで自分でトイレに行こうとする姿が見られます。ところが次第に、適切なタイミングで起きて自分でトイレに行くことがむずかしくなってきます。トイレまで我慢をするという排泄コントロールがしづらくなることも原因の一つです。
痛みや苦しさから、トイレまで自力で移動できない、排泄時に姿勢を保てない、あるいは尿意・便意を感じにくくなるなどの問題が生じるためです。トイレの外での排泄や、寝床でそのままおもらししてしまうことも出てくると、かなり重篤な状態です。
末期の状態になってから急におむつをすると、自由に動けない猫にとってはストレスの原因になります。介護がはじまったあたりから、時間を決めてすこしずつおむつの練習をしておく方がよいでしょう。
おむつの長時間つけっぱなしは雑菌の繁殖などにもつながり、皮膚トラブルの原因になります。愛猫にとって皮膚トラブルは痛みやかゆみなど大きな負担となり得ます。常に清潔にできるようケアをしてあげましょう。
5.一時的に元気になる
終末期には「中治り現象」、あるいは「ラストラリー」と呼ばれる現象があるとされています。数週間寝た切り状態だった猫が、突然元気になったように食事をしたり、ウロウロと歩き回ったりする状態で、死期が近づいたときに見られる回復状態のことを指します。
精神的に苦しい時期を過ごしていた飼い主にとって、安堵しがちな瞬間です。ところが、このときの回復は、長くは続かない場合もあります。死を目前にした身体に対して、脳から生存維持のホルモンを一斉に分泌したことで起こる一時的な現象だと言われています。
飼い主さんの希望とは裏腹に、元気な状態は長くは続かず、再び衰弱し最期を迎えることが多いため、この現象が疑われるようなことがあれば心の準備をしておく必要があります。
まとめ
愛猫の看取りには、予測はしにくい要素が多くあります。特に慢性的な疾患で、長く介護を続けていると、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら衰弱していくため、飼い主さんの精神面でも負担もとても大きくなるものです。そのためにも、猫が最期を迎える際の経緯を知るのは、とても大切です。
今回は5つの前兆を紹介しましたが、愛猫のパターンが必ずしも定義通りにやってくるとは限りません。猫の個性のように、個体によってさまざまです。愛猫が死を迎えるときに、飼い主としてできることは「猫が安心してできるだけ穏やかに旅立てる環境を整えること」です。
どの段階で病院へ行くか、治療や緩和ケアはどこまでやってもらうか、そのまま自宅で看取るかなど、かかりつけの獣医さんとよく相談しておくことをおすすめします。
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