猫に多く見られる「遺伝病」3つ 症状や原因、なりやすい猫種を紹介
猫の遺伝子疾患とは?
猫の遺伝病は、遺伝的な要因によって引き起こされる疾患のことを指します。
遺伝子は生物の設計図のようなものですが、その遺伝子に変異や欠損などの異常があると、体の構造や機能に問題が生じ、さまざまな病気や症状を引き起こすのです。
遺伝病は親から子へと遺伝しますが、一部の品種に特定の遺伝子疾患が多く見られるのもこのためです。
猫に多く見られる「遺伝病」3つ
1.骨軟骨異形成症
骨軟骨異形成症は、猫の骨や軟骨の形成に異常をきたす遺伝性疾患です。
骨の成長や関節の発育に問題を引き起こし、重症だと歩行困難といった猫の生活の質に大きな影響を及ぼします(軽傷だと症状がないことが多い)。
とくにスコティッシュフォールドに多く見られる病気です。スコティッシュはたれ耳が特徴的ですが、このたれ耳も実は軟骨の形成不全によるもの。
つまりたれ耳スコティッシュは、みんな「骨軟骨異形成症」をもっているということです。たれ耳のスコティッシュは100%骨軟骨異形成症を発症するといわれています。
また「スコ座り」「おやじ座り」といった猫の座り方がありますが、これも骨軟骨異形成症によって足が痛いから、足を投げ出して座るといわれています。
治療法はなく、骨軟骨異形成症の遺伝子をもっている以上生涯病気と付き合っていかなければいけません。
対症療法として痛み止めやサプリメントを処方されることもありますが、根本的な治療法は現在ではないようです。
なお、スコティッシュフォールドのほかにはマンチカン・アメリカンカールといった猫種が、骨軟骨異形成症の好発種とされています。
2.肥大型心筋症
肥大型心筋症とは猫の心臓の筋肉が異常に分厚く肥大し、心臓の働きが低下する病気です。原因の一つに遺伝もあると考えられています。
猫にはよく見られる心臓病のひとつで、これといった症状も見られないまま、病気に気づかず生活している猫もいます。
とはいえ重症化すると肺水腫や血栓症、心不全などを引き起こす恐ろしい病気で、突然死の原因にもなりえるものです。
初期症状はほとんどみられないのも、この病気の怖いところ。疲れやすい、休む時間が増えるといった症状はあらわれますが、それも徐々にゆっくり進行していくので見落としてしまうケースが珍しくありません。
ほかには、元気と食欲低下・開口呼吸・咳をするなどの症状がありますが、このような症状がみられるときは、病気が進行している可能性があるので早めに獣医師に相談しましょう。
この病気の根本的な治療法も現地点でなく、進行を遅らせることを目的とした治療を行います。
重症度にもよりますが、複数の薬や定期的な経過チェックなどを含めると、治療費は高額になることが多いようです。
なるべく早く病気を見つけられるように、好発種の猫(メインクーン・ラグドール・ノルウェージャンフォレストキャット・アメリカンショートヘア・ブリティッシュショートヘアなど)は、心臓の様子をチェックしてみてもいいでしょう。
3.多発性嚢胞腎
多発性嚢胞腎は、腎臓に多数の嚢胞(のう胞)ができる遺伝性の腎疾患です。嚢胞が次第に大きくなったり増えたりして腎臓を圧迫すると、腎機能が低下していきます。
慢性腎臓病のように初期はほとんど症状があらわれず、症状があらわれたときはすでに進行しているケースが多いです。
また嚢胞があらわれる時期は個体差があり、生後数ヵ月程度で嚢胞がみられることもあれば、少し経ってからでもみられることもあります。
症状は多飲多尿・脱水・嘔吐・元気消失・食欲不振といった慢性腎臓病に似たようなものです。
そして残念ながらこの病気も遺伝病であるため、根本的な治療や予防法はありません。なるべく早い時期にみつけて、進行を遅らせるための治療を行っていくのがいいでしょう。
初期には症状がないことが多いので、好発種の猫(ペルシャ・ペルシャ系の長毛種・マンチカン・スコティッシュフォールド・アメリカンショートヘアなど)は、元気でも一度は腎臓のチェックをおすすめします。
まとめ
猫の遺伝病にはさまざまな種類がありますが、骨軟骨異形成症・肥大型心筋症・多発性嚢胞腎の3つを紹介しました。
遺伝病は予防することも完治させることも難しく、その病気の遺伝子を持っている以上、うまく病気と付き合っていかなければいけません。
もし愛猫になにか遺伝病が見つかっても、獣医師と連携しながら愛猫が長生きできるように精一杯サポートしていきましょう!
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