鯖街道で有名な福井県。あなたは福井県に行ったことがありますか?福井に住んでいる方は、ぜひ周りの猫を観察してみてください。



「福井県の猫の約93%はしっぽがまっすぐな猫である。」



こんなデータを観測した人物がいます。



猫は住む場所、住む地域によって違いや特徴があるのではないか?そう考えてフィールド調査を行ったのは、元京都大学名誉教授、野澤謙氏。彼のグループの地道な研究結果により、日本全国(主に西日本ですが)の猫には、地域によって特徴があることがわかりました。



しかし東日本大震災で、被災した猫が本州のいろんな場所に引き取られたため、現在ではこのデータは若干差異があるかも。



でも自分が住む地域にいる猫の特徴を知るきっかけになるかも知れません。今回は「日本列島ご当地猫あるある」をご紹介しましょう。



 

■大阪の猫の50%はかぎしっぽ?




たとえば大阪の猫の50%はかぎしっぽで、京都の猫は約85%がまっすぐなしっぽの猫だといいます。この調査結果の裏付けとして、江戸時代の書物には、



「京の猫は尾の長い唐猫、浪華の猫は尾の短い和猫。」



という文章があります。唐猫とは海外(中国)から来た猫のこと。中国ではまっすぐのしっぽの猫はネズミを良く取るとして大事にされたそうです。



おそらく当時、都があった京都には中国から輸入された猫がたくさんいたのではないでしょうか。

そして同じくまっすぐなしっぽが多い福井県。福井の若狭湾と京都は古くから鯖街道で繋がっていて多くの人の行き来がありました。そのせいで福井と京都は同様のまっすぐなしっぽの猫が多いと報告されています。



反対にかぎしっぽの猫が日本一多いと言われているのが長崎県。鎖国中も唯一海外と貿易をしてきた長崎には、東南アジアに多いかぎしっぽの猫が多く入ってきたのではないかと推測されています。



また、猫の島として有名な宮城県、田代島には、たくさんの猫が住んでいながら、つい最近まで茶トラや三毛猫の猫はいなかったとか。白黒やキジトラの猫ばかりだったそうです。



茶トラ、三毛などのオレンジの遺伝子を持った猫は海外で発生したため、この遺伝子を持つ猫は田代島には入って来なかったのでしょう。



このオレンジの遺伝子を持つ猫、茶トラ、三毛猫は、なぜか佐賀県に多いということが野澤謙氏の地道な研究結果では発表されています。



 

■日本猫はもういない?






江戸時代から明治時代にかけて活躍した浮世絵師、歌川芳藤が描いた「しん板猫尽両めん合」という絵には、三毛猫、黒猫、キジトラ、茶トラの猫が描かれています。



このような文献や絵画から、日本に茶トラや三毛猫、白猫が増えたのは江戸時代からということはわかっています。



平安時代にはこれらの柄の猫は見られず、キジトラ、キジトラ白、黒、白黒の柄の4つの柄の猫しかいなかったとか。



日本古来の日本猫は、若干毛柄が地味だったようですね。



日本猫の特徴といえば、



「大きくて丸い顔」



「短めの脚」



「ずんぐりむっくりの体型」



という、まるで日本人の体型と似ているのが特徴。これは日本人だけでなく、島に住む生き物は人も動物もそういう特徴を持つ傾向があるそうです。



しかし現在、交通機関が増えて気軽に海外と行き来できるようになって、日本には海外の猫が大量に住み着きました。今では純粋な日本猫はいない、というのが定説となっています。



 

■海外の猫にも特徴がある




猫の行動学者、アーデン・ムーア女史は、「猫の顔の形と性格は関連性がある」という仮説を発表しています。海外の猫にも特徴があるようですね。



・ペルシャ、ヒマラヤンのような丸顔で扁平な顔を持つ猫は、おとなしく臆病で信頼する人間には従順。インドア派の人間と相性が良い。



・メインクーンなどの大きな体格と四角い顔を持つ猫は、愛情深くて飼い主を喜ばせるのが大好き。猫と積極的に遊びたい人にオススメ。



・シャムやアビシニアンのように細身で逆三角形の顔を持つ猫は、好奇心が旺盛で活発。人のそばでくつろぐよりも窓の外を眺めたりするのが好き。にぎやかな大家族や猫に芸を教えたいと考えている人に向く。



という説を発表しています。



 

■最後に




日本列島ご当地猫。残念ですが、私の住む東京の猫は、多種多様すぎてご当地ならではの特徴がわからなかったようです。



野澤謙氏は関西に在住だったために、関西圏と西日本を中心に猫の研究をしたようです。残念。東日本の猫の特徴も知りたかったですね。
情報提供元: 猫壱
記事名:「 大阪の猫の50%はかぎしっぽで、佐賀には三毛猫が多い?日本列島ご当地猫