ある雑誌のアンケートによると、猫の飼い主さんのおよそ3割の人が
「猫に自分のおかずをあげたことがある」
と答えています。猫は完全肉食動物のはずなのに、米類や果物など、人間の食べ物を「すごくおねだり」する猫は珍しくありません。
「うちの猫はパンが大好き。毎朝朝食のパンを少し与えてしまいます。」
という飼い主さん、案外多いのではないでしょうか。しかしやはり人間と猫では体の構造も違いますし、必要な栄養素も異なります。
「これまでこんなおすそ分けをしてきてしまったけど、大丈夫?」という悩みから、「こんな食べ物をねだられて困っちゃう」などなど、ついやりがちな猫に与えてしまった「おかずのおすそ分け」の悩みと疑問について調べてみました。
■最初からおすそ分けをしなければ猫は人の食べ物を欲しがらない?
「うちの猫はバナナが大好き。困っています。」
という悩みを聞いたことがあります。しかし最初から猫はバナナを自ら食べたのではないはずです。
猫は自分の「経験」から食べ物の好みが出来上がります。食べられるかどうか学習しながら食べ物を確認する動物。
しかし自然界で狩りをしながら暮らしていた時代から、飼い主からご飯を「与えてもらう」という環境に変わったせいで、完全肉食から嗜好が変わっていったようです。
現在の完全室内飼い猫は、飼い主さんから与えられるご飯が全てです。今まで食べたことがない食べ物でも、飼い主さんが食べていれば警戒せずに安心して食べるようになります。
ただ、一般的に、猫は自分が食べた経験のない食べ物には興味を示さないと言われています。飼い主がおすそ分けをしなければ、猫は人の食べ物には無関心なはず。
おすそ分けは、猫の要求というよりは、飼い主さんが「食べさせたい!」という欲求から生まれてしまうのかも知れません。
■おすそ分けが習慣になってしまった。どれくらいの量なら与えても大丈夫?
言うまでもないことですが、人間と猫の体は大きさがかなり違います。小豆が好きだという猫に、おまんじゅうを4分の1あげた場合、その量を人に換算すると、3個のおまんじゅうと同じ程度の量になるとか。
人には4分の1ぐらい、と思えるおすそ分けでも、猫にしてみれば「たくさんのご馳走」のような感覚です。
当然カロリーも高くなりますから、肥満の原因になりますよね。
どれくらい与えても大丈夫が知りたい場合、まずは自分の愛猫の1日の食事の量をしっかりと把握しておきましょう。
猫に必要な1日のエネルギー量は、その猫の運動量によってばらつきはありますが、概ね体重1kgに対して50~70kcal。
成猫で完全室内飼い、運動量が普通の4kgの猫の場合は60kcal×4kgで240kcalが、1日に必要なエネルギー量となります。
猫にあげても大丈夫なおすそ分けの量は、1日に必要なエネルギー量の10%ぐらいが安心です。この場合は24kcalとなります。
■絶対に食べさせてはいけないものをおすそ分けしてしまった場合
猫が中毒を起こす食べ物をうっかりおすそ分けしてしまったら。まずは動物病院へ電話をして相談してください。素人判断で解決しようとせず、専門家の意見に従ったほうが安心です。
猫に「絶対にあげてはいけない食べ物」を食べさせても、必ずすぐに健康障害が起こるとは限りません。
数時間後、数日後にか体に変化が現れることもあるそうです。猫が平気な顔をしていても、真夜中に急変してしまうかも。
念のために動物病院の先生に、「何を、いつ、どれくらいの量」を食べたのかを報告してください。
■最後に
いかがですか。ついついやってしまいがちな愛猫へのおすそ分け。手作りごはんなど、普段から人間と同じ食べ物を食べさせている猫と、生まれてからずっとカリカリしか食べたことがない猫を比較しても、猫の健康状態にそれほど違いはない、ということを聞いたことがあります。
猫のカリカリ(ドライのキャットフード)は味も淡白でとても不味い、と私は試食した時に思いましたが、猫と人の好みは違います。猫にとってカリカリは完全栄養食。
愛猫が人の食べ物を欲しがるなら1割ぐらいを目安にしてください。そして欲しがらない猫には、無理に与えなくても大丈夫なようですね。 情報提供元: 猫壱