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一方で、ミソキネシアがどのような脳メカニズムで発生するのかは分かっていません。
本研究では、「反射的な視覚注意システムが鋭敏すぎるのではないか」という仮説を立てて実験したものの、期待した結果は得られませんでした。
その中で、研究チームは「脳内のミラーニューロンが関係しているのではないか」と新たな仮説を立てています。
ミラーニューロンとは、自分が実際に行動する時と、他人の行動を見ている時の両方で活性化する神経細胞です。
他人の行動を見る時に、まるで自分が同じ行動を取っているかのように反応することから「ミラーニューロン」と呼ばれます。
たとえば、誰かが傷ついているのを見ると、その痛みが脳に反映されて、自分も悲しくなるといったケースです。
ジャスワル氏は「ミソキネシアの場合は、他人のそわそわの原因となる不安や緊張、苛立ちが反映されて、見ている自分もイライラしてくるのかもしれない」と推測しています。
しかし、これはまだ仮説の段階であり、それを証明するにはさらなる研究が必要です。
ただ一つだけ確かなことは、ミソキネシアが珍しい症状ではなく、多くの人が同じ悩みを抱いているということでしょう。
参考文献
First In-Depth Study of ‘Misokinesia’Phenomenon Shows It May Affect 1 in 3 People
https://www.sciencealert.com/first-in-depth-study-of-misokinesia-phenomenon-shows-it-may-affect-1-in-3-people
元論文
Misokinesia is a sensitivity to seeing others fidget that is prevalent in the general population
https://www.nature.com/articles/s41598-021-96430-4
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部