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アライグマ(学名:Procyon lotor)は、北米原産の哺乳類で、体長40~60cm、尾の長さが20~40cmにも達する中型動物です。
目の周りに黒い「マスク」のような模様があり、ふさふさした縞模様の尾が特徴的です。
また愛らしい見た目、手を使って物を扱う器用さ、優れた学習能力をもつ動物として知られています。
彼らは夜行性で、雑食性。
森や川辺だけでなく、都市部でもゴミ箱を漁ったりして生き延びる「サバイバル上手」な動物としても有名です。
そんなアライグマが、「二本足で玄関先に立っていた」と報告されたのが、2025年6月初旬のこと。
場所はアメリカ・マサチューセッツ州のBelchertownという町です。
その日、町は大雨に見舞われ、気温も急激に低下していました。
嵐の夜が明けた翌朝、ある住民が玄関を開けたところ、そこに「濡れねずみ」のような小さなアライグマが、まるで門番のように直立していたのです。
発見されたアライグマは明らかに幼体で、体毛は雨に濡れて冷たくなり、震えていました。
まだ自力で食事をするには難しい様子で、人を怖がるというより、どこか助けを求めるような目をしていたと言います。
驚いた住民はすぐに動物管理局「Belchertown Animal Control」に連絡。
駆けつけた職員によって、毛布で包まれ温められたのち、専用ケージに収容され、動物保護施設へと搬送されました。
救出されたアライグマは、マサチューセッツ州内の野生動物リハビリテーション施設「Leyden Center for Wildlife Rehabilitation」へと移送されました。
ここでは専門スタッフによる手厚いケアが提供されており、食事や水分補給、保温環境が整えられた中で回復に向かっています。
この施設は野生動物の保護・回復・再導入を専門とする非営利団体で、負傷したり親を失った動物たちを一時的に保護し、自然に返すことを目的としています。
Leyden Center for Wildlife Rehabilitationは、この保護の様子をFacebookで動画付きで投稿。
投稿された動画では、濡れていた姿とは打って変わって、毛布の上で元気にエサを食べている元気なアライグマの姿が確認できます。
Belchertown Animal Controlもこの動画を引用して、「世界的に有名になった赤ちゃんアライグマは元気です!」とコメントしました。
この「直立アライグマ」の姿とその後の様子は、瞬く間にインターネットで拡散。
大手メディアでも取り上げられ、SNS上では「彼は玄関の警備員みたい!」、「まるで映画のワンシーン」といったコメントが殺到しました。
そして動画には「泣きそうになった」「癒やされた」といった声も寄せられ、多くの人々がこの小さな命に心を動かされました。
なお、同じ日にネットに絡まって動けなくなった状態で発見された幼いウッドチャック(グラウンドホッグ)も、同じくLeyden Centerに搬送され、2日後には野に戻りました。
春から夏にかけては、多くの野生動物が出産・育児を行うため、保護件数も自然と増加します。
それでもこのような保護を通して生じる「野生動物とのふれあい」は、時に思いがけない感動を与えてくれます。
もしかしたら、あなたの玄関先にも何か可愛らしい動物が立っていることがあるかもしれませんよ。
参考文献
Baby raccoon rescued after getting soaked in Massachusetts storm
https://nypost.com/2025/06/12/lifestyle/baby-raccoon-rescued-after-massachusetts-storm/?utm_source=chatgpt.com
Belchertown Animal Control
https://www.facebook.com/BelchertownAnimalControl/posts/pfbid0S7ErfMdnBtydtgWSsaGHD7gw67zZgatLGFe1ve4wQYxEYGvmNfKyvyzvywSYSYGul
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部