- 週間ランキング
特に注目されたのが、2足目の靴です。
つま先からかかとまで完全に形を保っており、ボランティアも考古学者も思わず感嘆の声をあげたといいます。
その長さはなんと32センチに相当していました。
当時の成人男性の平均身長が165センチ前後だったと考えられる中で、この靴を履いていた人物は、明らかに“規格外”の体格だった可能性があります。
この巨大な靴の持ち主について、さまざまな仮説が浮上しています。
もっとも自然な仮説は、ローマ軍の中でも特に体格のよい兵士、あるいは軍団の幹部クラスの人物が履いていたというものです。
ローマ帝国は各地から兵を集めており、ゲルマン系や北方の部族出身の兵士が混在していたこともわかっています。
そうした人々の中には、ローマ人よりも遥かに大柄な者もいたと考えられており、この靴のサイズもその一例かもしれません。
また、要塞で働いていた兵士や職人たちは、革製品や金属製品の加工を行うスキルも持っていました。
この靴の構造を詳しく調べたところ、靴底は何層もの革を重ね、縫い糸やびょうでしっかりと固定されていたことが判明しています。
防水性や耐久性を重視した、実用的な作りだったことからも、この靴が実際に使用されていたことは間違いありません。
それにしても32センチという異例のサイズは、ローマ帝国のコレクションの中でも最大級の可能性があります。
現在、この靴は専門の革製品研究者によって詳細な分析が進められており、どのような人物がこの靴を履いていたのか、そして彼がマグナの要塞でどのような役割を果たしていたのかを解明する手がかりになることが期待されています。
こちらは発掘作業の様子をまとめた映像です。
参考文献
One Roman soldier had enormous feet, 2,000-year-old waterlogged leather shoe reveals
https://www.livescience.com/archaeology/romans/one-roman-soldier-had-enormous-feet-2-000-year-old-waterlogged-leather-shoe-reveals
Magna Dig Diary 2025
https://romanarmymuseum.com/magnafort/magna-dig-diary-2025/
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部