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ところが東南アジアのベトナムやミャンマー、さらには東欧のルーマニアでは、こうした関連性がまったく見られなかったのです。
むしろ「美しい」という語が「無能」や「失敗」と結びついているケースさえありました。
このような文化圏では、美しさがかえって「表面的なもの」「信用できない」といったネガティブな印象をもたらす可能性があるのです。
研究チームは、こうした違いが宗教観や歴史的背景、社会規範の違いから生じているのではないかと考えています。
たとえば、「内面の美徳」や「謙虚さ」が重視される文化では、外見の美しさが評価軸として優先されない傾向があるのかもしれません。
私たちはつい、「見た目が良ければ得をする」と思いがちですが、今回の研究はその常識に大きな揺さぶりをかけました。
世界には、「見た目の美しさ」が必ずしも評価されない文化が存在します。
そこでは、他の資質――たとえば知性、勤勉さ、誠実さ――がより重視されている可能性が高いのです。
これは私たちに重要な問いを投げかけます。
「社会が求める美しさとは、いったい誰が決めるものなのか?」と。
もし「見た目に自信がない」と悩んでいるなら、少し視野を広げてみるといいかもしれません。
文化が違えば、美しさの価値もまるで変わります。
そして、あなたの持つ別の魅力が、最も強い社会的な魅力になるかもしれないのです。
参考文献
Beauty is an advantage, but not everywhere
https://www.uni-mannheim.de/en/news/beauty-is-an-advantage-but-not-everywhere/
元論文
Cultural differences in the beauty premium
https://doi.org/10.1038/s41598-025-02857-4
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部