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また宇宙における微生物の存在は、単なる「汚染」の問題では済まされないかもしれません。
一部のナイアリア属細菌は、免疫力が低下した患者に対して敗血症を引き起こすことが知られています。
今回発見されたナイアリア・ティアンゴンゲンシスが、宇宙飛行士の健康にどのような影響を与えるかは未知数ですが、潜在的なリスクとして無視はできません。
とはいえ、こうした微生物の研究は、逆に大きな可能性も秘めています。
宇宙環境に適応する細菌の性質を解明することで、例えば放射線耐性をもつバイオ素材や医療用途への応用など、地球上では実現できなかった新しい技術の扉を開くことにもつながると期待されています。
つまり、宇宙微生物は「脅威」であると同時に、有効活用すべき「資源」でもあるのです。
参考文献
Unknown Species of Bacteria Discovered in China’s Space Station
https://www.sciencealert.com/unknown-species-of-bacteria-discovered-in-chinas-space-station
元論文
Niallia tiangongensis sp. nov., isolated from the China Space Station
https://doi.org/10.1099/ijsem.0.006693
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部