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連休明けは、「何から手をつければいいか分からない」「どこから始めても気が重い」という状態になりがちです。
これは、脳がたくさんの判断を一度に求められ、疲れてしまうことが原因です。
これを軽減するためには、業務や行動の「構造化」が有効です。おすすめなのは、「やることをあらかじめ紙に3つだけ書いておく」ことです。
優先順位や順番も書いておくと、余計な迷いが減り、動き出しやすくなります。
少数のやるべきこととその順番をあらかじめ決めておく、という行動の単純化が、意思決定の疲れを防ぎ行動しやすくしてくれます。
「もっとちゃんとしなきゃ」「理想通りにやらなきゃ」と思えば思うほど、体も心も動きにくくなります。
この時期は、「小さくても、できた」という感覚を積み重ねることの方がずっと大事です。
そのため、対処戦略として有効なのは、「目標のタイムスパンを短くし、成果を視覚化すること」です。
たとえば、「3日以内に仕上げる簡単な作業」「午後にひとつだけ処理する課題」を明確化し、それをカレンダーやアプリに記録する。
こういった“確実に終わること”を毎日ひとつこなすだけで、徐々に心にエンジンがかかってきます。
GWも明けて、ここからが本格始動だという気持ちで、長期的目標や理想像に向けて動き出そうとすると、エネルギーが枯渇しやすくなります。
やる気を出して頑張って動くのではなく、「少しずつ動いているうちに、自然とやる気が出てくる」という流れを意識すると、行動することがだいぶ楽になるでしょう。
1の提案と似ていますが、こちらはそもそもまず動き出せないという問題に対処する方法です。
何かを始めるとき、やるべきことを全部頭に浮かべていると、スタートの足が止まってしまいます。
そこで大切なのは、「最初の行動を決めておく」ことです。
たとえば、「朝、パソコンを開いたら、まず最初に1通だけメールに返答する」など、“始まりのスイッチ”を作っておくと、自然に次の行動へとつながっていきます。
これは、習慣化の研究でも有効だとされているテクニックです。
五月病などの落ち込みやすい時期は、「他人と比較して自分が劣っている」という思考が強まりやすくなります。
そんなときにSNSやネットニュースを見続けていると、どんどん気持ちが落ち込んでいきます。
なので取得する情報を一時的に減らして、自分の手で何かを「やってみる」時間を増やすことが大切です。
たとえば、文章を書いてみる、家事をひとつ終わらせる、机の上を整理する――そんな小さな「自発的な行動」が、自分のペースを取り戻すきっかけになります。
やらなきゃいけないことがあっても、「別に今日じゃなくてもいい」「誰にも怒られないし」と思っていると、どんどん動けなくなることがあります。
こういうときは、あえて「人との約束」をするなど外部からやる理由を与えてもらうことが有効です。
たとえば、同僚に「今日中にここまでやります」と伝えておく、図書館で作業する予定を入れておく、人と会う約束を入れるなど、自分ひとりではなく、ちょっとした外の“きっかけ”を用意するだけで、行動の後押しになります。
以上の5つの方法は、「気持ちを切り替える」ためのテクニックではありません。
むしろ、動けない時期に“どうやって動けるような状況を自分で作るか”という、現実的な工夫です。
気分を変えようとするのではなく、動き方を少しだけ変えてみることが、気分の変化につながります。
その順番こそが、五月病から抜け出すためのカギなのです。
参考文献
働き方に不満を感じている人の半数以上が 5 月病を経験 自宅でのリフレッシュのすすめ
Click to access 20230420r.pdf
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/library/2023/20230420/20230420r.pdf
元論文
Breaking habits with implementation intentions: A test of underlying processes
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0146167211399102
ライター
相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。
編集者
ナゾロジー 編集部