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ダイエット宣言していた友達の、「最初は調子が良かったけど、結局リバウンドして終わった」なんて姿を見たことがあるかもしれません。
また自分で長期間のダイエットに励んだことのある人なら、同様の経験をしたことがあるかもしれません。
しかしCSIROの研究チームは、この現状に疑問を抱きました。
本当に、停滞期は避けられないのか? その後に再び体重を減らすことはできないのか?
この疑問に答えるため、研究チームは2014年から2022年にかけて24,000人以上のデータを収集。
オンライン減量プログラムに1年間参加した人々の体重の変化を、3か月ごとに追跡しました。
このうち約6,600人(全体の約27.5%)は、3か月ごとの全4回の体重測定データを揃えていた「完全データ群」に分類されました。
そして彼らのダイエットを分析した結果、ダイエッターにとって嬉しい事実が明らかになりました。
分析の結果、1年間でダイエットに成功した人たちの中には、体重が直線的に落ちていくというよりも、停滞期に陥る人が多かったことを発見しました。
例えば、15%の人は、最初の6か月で体重が減少していき、、その後の6か月で体重を維持していました。
それでも彼らは1年で平均11kgの減量(開始体重の12%)を達成していました。
また11%の人は最初の3カ月で体重が減り、その後9カ月間体重を維持し、1年間で5kgのダイエットに成功していました。
さらに別の9%の人は、9カ月間で体重を減らし、その後3カ月間体重を維持。1年間で平均16kgの減量に成功しました。
つまり、たとえ停滞期を経験したとしても、全体を通してみるとダイエットに成功する人は多いのです。
そして、いわゆる「再減量パターン」も確認されました。
一度体重の減少が止まった後、再び減量が始まるというケースです。
たとえば「最初の3か月で減量 → 次の3か月で停滞 → その後また減量に転じた」という参加者たちは、平均して10kg以上の減量を達成していました。
このような結果は、「停滞=失敗」とする考え方を見直すべきことを示しています。
ダイエットを始めると多くの人が途中で停滞期を経験します。
しかしだからと言って、そこでダイエットが失敗してしまうわけではありません。
むしろ「停滞中もあきらめないことが大切」なのです。
研究チームは、「停滞期はむしろ再減量への助走期間」と捉える視点が必要だと述べています。
停滞期に入ってしばらく変動がないなら、リセットのサインかもしれません。
新しい目標を設定し、食事を記録し、再び集中するなら、状況が大きく変わる可能性があります。
今回の研究は、ダイエットの成功において、停滞期を経験することは一般的であり、「停滞期=通過点」であることを、科学的に裏付けました。
この結果は、多くの人にとって減量の旅を最後まで走りきるための、力強いエールとなるはずです。
体重が減らなくなったとき、それは「終わりの合図」ではありません。
それはむしろ、「次のステージが始まるサイン」なのです。
参考文献
Stuck on the weight-loss plateau? Scientists have good news for you
https://newatlas.com/diet-nutrition/weight-loss-plateau/
Debunking weight loss plateaus: Science says you don’t have to lose to win
https://www.csiro.au/en/news/All/News/2025/April/Total-wellbeing-diet-paper-debunks-myth-of-weight-loss-plateaus
元論文
Weight Loss Patterns and Outcomes Over 12 Months on a Commercial Weight Management Program (CSIRO Total Wellbeing Diet Online): Large-Community Cohort Evaluation Study
https://doi.org/10.2196/65122
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部