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一方で、バイカル湖は氷河の浸食作用でできたものではありません。
バイカル湖は「地溝湖(ちこうこ、rift lake)」と呼ばれる湖に属し、はるかに長い寿命を持ちます。
というのも、地溝湖は大陸プレートが引き裂かれることで生じる深い地溝(グラーベン)が水で満たされることで形成されるからです。
このタイプの湖はプレートが動き続ける限り拡張し続けるため、消滅しにくくなっているのです。
バイカル湖も例外ではなく、毎年約2.5センチメートルずつ拡大し続けており、現在の総面積は約3万1700平方キロメートルに達しています。
さらにバイカル湖はその深さも世界一となっており、最大水深は1700メートルに達するとされています。
バイカル湖が特別なのは、その古さだけではありません。
ここは地球上で最も生物多様性に富む湖であり、多くの固有種が生息しています。
その代表的な例が「バイカルアザラシ(学名:Pusa sibirica)」です。
これは世界で唯一の淡水のみに生息するアザラシであり、ほかのどの湖にも存在しません。
また、バイカル湖には数百種類の淡水エビが生息しています。
加えて、ミネソタ科学博物館の研究者マーク・エドランド(Mark Edlund)氏は、バイカル湖に生息する珪藻(diatoms)にも注目しています。
通常の珪藻は直径10〜50ミクロンですが、バイカル湖の珪藻は50〜150ミクロンと異常に大きく、進化の過程で独特の適応を遂げたと考えられているのです。
このような生物学的特徴から、バイカル湖は進化と生態系の研究にとって非常に貴重な場所とされています。
バイカル湖は2500万年もの長い歴史を持つ地球上で最も古い湖であると同時に、最も深く、そして最も生物多様性に富んだ湖でもあるのです。
参考文献
What’s the oldest lake on Earth?
https://www.livescience.com/planet-earth/whats-the-oldest-lake-on-earth
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部