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これにより、ナノ粒子を自由に動かし、プレイヤーがコントロールできる環境が作り出されます。
そしてデモンストレーションでは、プレイヤーがジョイスティックを使って呈示した自機(二等辺三角形状)と弾(ナノドット)を操作し、現実のナノ粒子(ポリスチレン球)を撃ち飛ばすシューティングゲームをプレイしました。
ナノ世界で実際の物質と仮想キャラクターが相互作用するという、これまでにないゲーム体験が実現したのです。
今回の研究では、「複合現実」を実証しました。
複合現実とは、VR技術の派生技術であり、現実の物理空間とコンピュータ上の情報空間を物理的につなぐ技術のことです。
情報空間から物理空間に干渉でき、同時に物理空間で起きたことが情報空間に反映されることで、両空間の境目がなくなったように感じられます。
従来のナノツールは、物質的な物をあらかじめ用意して作業する必要がありました。
しかし今回の成果では、コンピュータ上のデータから直接力場を呈示することによって、何もない空間にバーチャルな物体やツールを出現させることを可能にしたのです。
研究チームによると、この技術をさらに発展させることで、ナノ物質に情報空間を重ね合わせる「分子・コンピュータ・インターフェース」を生み出すことができるかもしれません。
コンピュータ上から微粒子を集合させる力場を制御し、何もない空間にナノ構造体を・生成・消去することさえ可能になるかもしれないのです。
参考文献
リアルなナノ粒子を自在に操作できる世界最小TVゲーム 情報空間と物理空間をつなぐ複合現実ディスプレイを開発
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/01/tv.html
元論文
Electron-beam induced electro-force field display for a dynamical biomanipulation system
https://doi.org/10.35848/1347-4065/ada707
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部