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研究チームは今回、これら複数の犬種を含めた500匹以上の犬を対象に、嗅覚能力を評価するための「ナチュラル・ディテクション・タスク(Natural Detection Task)」というテストを実施しました。
このテストでは、犬たちは複数の鉢(ポット)の列の中から、隠されたおやつを嗅覚で探し出すことを求められます。
ポイントは、この課題が特別な訓練を必要としないことです。
つまり、犬の生まれ持った嗅覚能力を純粋に評価できる仕組みになっています。
この課題には3段階の難易度があり、
といった形で進められました。
そして実験の結果、ゴールデン・レトリーバーやショートヘアード・ハンガリアン・ビズラ、バセット・ハウンド、ブラッドハウンドなどの狩猟犬種は確かに高い嗅覚能力を示したのですが、それよりも牧羊犬であるボーダー・コリーの方がテストの高い成功率を記録したのです。
その一方で、ビーグル犬はボーダー・コリーよりもおやつを見つけるスピードに関しては速かったことが明らかになりました。
しかしおやつを正確に見つけた成功率はボーダー・コリーの方が上となっています。
この結果は、ボーダー・コリーが意外にも生まれつき高い嗅覚を持っていることを示しました。
また研究者らは、ボーダー・コリーは視覚や人間の指示に従う能力が非常に高いため、嗅覚に加えてそれらの能力を組み合わせることで、これほど高いテストの成功率に達したと見られると話しています。
今回の研究は、犬種ごとの嗅覚能力を理解するだけでなく、「ナチュラル・ディテクション・タスク」が、若い犬や未経験の犬の捜索活動への適性を判断する有効なツールとなる可能性が示されました。
これは警察犬や医療検知犬の選抜・育成においても有益な情報となるでしょう。
さらに「狩猟犬=嗅覚が最も優れている」という固定観念を覆し、犬種による能力の違いを見直すきっかけとなるかもしれません。
次に街でボーダー・コリーを見かけたら、彼らの優れた嗅覚に思いを馳せてみるのも面白いかもしれませんね。
参考文献
Best in nose: Border collies outperform hunting breeds in olfactory task study
https://phys.org/news/2025-02-nose-border-collies-outperform-olfactory.html
元論文
Breed differences in olfactory performance of dogs
https://doi.org/10.1038/s41598-025-87136-y
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部