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そもそもタコは、泳ぎ続けることが苦手であり、それには体のつくりが関係しています。
タコには3つの心臓があります。
1つは人間と同じく全身に血液を送る心臓、他の2つはエラ心臓と呼ばれるものです。
このエラ心臓は筋肉へ大量の酸素を供給するためについており、瞬時に泳いで逃げる時に役立っています。
しかし、泳いでいる時には「全身に血液を送る心臓」が活動せず、タコはすぐに疲れてしまいます。
そのため、タコは泳ぎ続けることが苦手であり、這うように移動するのはそのためです。
さらにタコは、体表の色彩を変化させる色素細胞を持っており、周囲に溶け込むことができます。
岩や海藻に擬態し、捕食者から身を隠すことができるのです。
加えて、柔らかい体によって、捕食者が入っていけない狭い場所にも簡単にアプローチできます。
タコは、こうした体の特徴から、ひたすら泳いで敵から逃げ続けるよりも、どこかに隠れて危険を避ける方が向いています。
だからこそタコは、海底や岩の隙間に巣穴を持っており、エサを探す以外は、ほとんどの時間を巣穴の中で過ごします。
では、タコたちは他にもどんな場所に隠れているのでしょうか。
タコは海底にある岩の隙間を自分の巣穴とすることがよくあります。
またサンゴ礁に生息するワモンダコ(学名:Octopus cyanea)などは、サンゴ礁の複雑な地形を利用し、その隙間に身を隠します。
さらに、一時的な避難場所として砂浜に潜ったり、貝類や甲殻類が形成する穴を巣穴にしたりするタコも存在します。
そういえば昨日調査中にタコをみつけたので捕まえて観察していたら、鮮やかに砂に潜る技を見せつけてくれました。こんな技もあったとは!タコスゴイ! pic.twitter.com/RcnWd8bDuM
— オイカワ丸 (@oikawamaru) October 17, 2020
Xで話題になっている動画は、こうした場面をピックアップしたものでしょう。
そして、このように「タコが巣穴に隠れる習性」を利用したものが、マダコ漁業に用いられる「蛸壺」です。
たとえ人工物であっても、捕食者から身を隠せる場所であれば、タコは喜んで活用するのです。
また特殊な例ですが、オーストラリアのメルボルン博物館の2009年の研究によると、ココナッツの殻を巣にするタコも発見されています。
このタコは、ボウル状のココナッツの殻を持ち運んでおり、度々、その殻を自分の上に被せ、隠れ家として使用していたのです。
偶然、その光景を目にしたビクトリア博物館のジュリアン・フィン氏は、「非常に滑稽な光景でした。水中であれほど笑ったことはありません」とコメントしています。
柔らかく防御能力が低いタコが、自分の身を守るために様々な地形やアイテムを活用する姿は、時に私たちを驚かせ、時に私たちを笑わせてくれます。
参考文献
Coconut-carrying octopus: Tool use in an invertebrate
https://www.sciencedaily.com/releases/2009/12/091214121953.htm
元論文
Defensive tool use in a coconut-carrying octopus
https://doi.org/10.1016/j.cub.2009.10.052
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部