これまで「ありそうでなかった発明」というものは、度々登場するものですが、もしかしたらエンジニアのモエ・パワー氏によって開発された「eBarrow」もそうかもしれません。


eBarrowは、建設現場で「ネコ」「ネコ車」と呼ばれることもある運搬用の一輪車(または手押し車)電動化するモジュールであり、わたしたちを過酷な運搬作業から救ってくれます。


eBarrowの動画からそのパワーを目の当たりにすると、日ごろ一輪車を使っている人は、きっと欲しくなることでしょう。


詳細は、eBarrowの公式サイトで確認できます。




目次



  • 過酷な運搬作業から解放してくれる新モジュール
  • 運搬用の一輪車「ネコ」を電動化するeBarrow

過酷な運搬作業から解放してくれる新モジュール


「ネコ」とも呼ばれる運搬用の一輪車 / Credit:Canva

「ネコ」「ネコ車」と呼ばれる運搬用の一輪車は、建設現場や農作業には欠かせない手押し式の運搬台車です。


仕事や農作業、庭の作業で使ったことのある人も多いでしょう。


そうでなくても、自宅、田舎の実家や学校の倉庫で見かけたことがあるはずです。


この一輪車は非常にシンプルな作りですが、物を運ぶのに便利です。


工事現場などでは石材や土砂、セメントなどを運搬するのに活躍します。


大まかな作業や運搬は重機やトラックで行えますが、それら重機が入れないような狭い場所での作業には、この一輪車を使って人力で運びます。


重機やトラックで運べない場所に、人力で資材やセメントを運搬するのに役立つ。ただし過酷な作業 / Credit:Canva

被災地などでは、通路が塞がれ重機やトラックが入らなかったり、崩壊を避ける目的で繊細な人力作業が求められたりするため、そういったケースでも一輪車が使用されます。


また個人であれば、重機やトラックを持っていない人がほとんどであり、そうした人が庭仕事をする時にも、一輪車が役立ちます。


土木工事をする人なら、大量のセメントを一輪車に入れて「運んでは流し込み、運んでは流し込み……」という作業を繰り返していることでしょう。


1〜2回運ぶだけであれば、そこまで大変には思いませんが、何度も繰り返すうちに腕が疲れ、痺れてくるものです。


また農作業などで重いものや大きいものを載せ過ぎた時には、一輪車を腕でコントロールできなくなり、途中でひっくり返してしまうこともあります。


荷物を積み過ぎて転倒してしまうことも…… / Credit: eBarrow Kit

その時のなんともやるせない気持ちは、思い出したくもありませんね。


このように、「一輪車で運搬する」という作業は、実はかなり過酷です。


しかし長年、一輪車は完全に人力のままでした。


運搬用の一輪車をもっと楽に使う方法はないのでしょうか。


発明家/エンジニアであるモエ・パワー氏も、20年間放置され、木が生い茂っている裏庭の伐採作業に取り掛かろうとした時、同じ気持ちになりました。


そこで彼は、既存の一輪車(ネコ)を電動化するモジュールのプロトタイプを開発し、庭仕事のスピードを大幅に向上させることに成功しました。


そのアイデアは洗練され、今では1つの製品「eBarrow」として、多くの人が入手できるようになっています。


運搬用の一輪車「ネコ」を電動化するeBarrow


電動化モジュール「eBarrow」が取り付けられた一輪車(ネコ) / Credit: eBarrow Kit

モエ・パワー氏が開発した一輪車(ネコ)用モジュールは、「モーター付きの車輪」と「車輪に接続されたバッテリー・電子モジュール」「ハンドルに取り付ける制御スロットル」の3つで構成されています。


これらは工具を使って、従来の一輪車に簡単に取り付けることができ、作業時間はわずか4分です。


アメリカで一般的な一輪車に取り付け可能。4分で装着できる / Credit: eBarrow Kit

アメリカで販売されている一般的な運搬用の一輪車と互換性があり、どんな一輪車でもすぐに電動化できます。


使い方も簡単で、電源を入れた後、ハンドルのスロットルを押すだけです。


坂道でも、山積みの丸太をスイスイ運べる / Credit: eBarrow Kit

モーターには、35N・m以上のトルクがあり、平地だけでなく坂道で重い荷物を引っ張ってくれます。


モエ・パワー氏いわく、「一輪車を押すのをやめて、eBarrowに引っ張ってもらってください」とのこと。


動画でも確認できる通り、巨大な丸太や重い荷物を限界まで積んだ状態で、坂道を難なく移動できるほどの力があります。


10Ah(アンペア時)のバッテリーが搭載されており、1回充電するだけで、約1週間毎日使用し続けることが可能です。


バッテリーモジュールのLEDディスプレイには、現在の充電レベルが表示されるため、充電すべきタイミングも簡単に判断できます。


普通であれば、あっという間に転倒してしまうような無茶な運搬も行える。一家に一台あると便利かも / Credit: eBarrow Kit

さらにこのモジュールは防水性であり、短時間の浸水にも耐えることができます。


ハンドルに取り付けた制御スロットルのおかげで、スピードも任意で調整することができ、様々な状況で、安全と効率を両立できるでしょう。


ユーザーは、大量の荷物を運んで疲れ果てたり、転倒してやるせない気持ちになったりすることから解放されます。


工事現場で毎日一輪車を使う人から、庭での作業に体力的な不安を感じるようになった人まで、様々な人に役立つ発明品だと言えます。


このeBarrowは、現在499ドル(約7万7000円)で、公式サイトで販売されています。


こうした「ありそうでなった発明品」が、今後も私たちの生活や仕事を少しずつ楽にしていくことでしょう。


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参考文献

Electric wheel kit transforms wheelbarrows into motorized monsters
https://newatlas.com/around-the-home/ebarrow-electric-wheelbarrow-kit/

Power at Your Fingertips
https://ebarrowkit.com/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

情報提供元: ナゾロジー
記事名:「 運搬用一輪車のバランスが難しい理由は動力がないから!意外なアイデア商品