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調査では英国在住の18歳〜35歳(平均年齢26歳)の健康な男性473名を対象としました。
これらの参加者は、学術的な調査データの収集を支援するオンラインプラットフォーム「Prolific」を通じて集められ、参加者には8ポンド(約1500円)の報酬が支払われています。
そして参加者は専用のアンケート用紙によって、権威主義や自己の魅力評価、拒絶への感受性、そしてミソジニーの程度を測定する一連の質問に回答しました。
その結果、ミソジニー性向と最も強く関連していたのは「権威主義」でした。
権威主義的な性格が強い参加者ほど、女性蔑視や性差別の特徴を示しやすかったのです。
これは権威主義者が厳格な社会的階層や性別ごとの役割に関する古い考えに固執していることが原因と見られます。
また一方で、権威主義ほど強くはないですが、拒絶されることへの感受性が強い男性も女性に対する否定的な態度を持ちやすいことが示唆されました。
これは例えば、女性への誘いを断られたショックが女性への敵意や憎悪に変わってしまうことと関連していると推測されます。
しかし最も注目すべき発見は、自己の魅力評価と女性蔑視との興味深い関連性でした。
自己の魅力評価はその名の通り、自分の性格や行動特性をどれだけ魅力的であるか、肯定的に認識しているかを評価するものです。
調査では、参加者473名の自己の魅力評価レベルを低い方から高い順にグラフの横軸に並べ、縦軸にはミソジニー性向のレベルを低い方から高い順に並べて、両者の関連性を見ました。
つまり興味深いことにミソジニー性向の強い男性は、自分の魅力を最も過大評価しているグループと最も過小評価しているグループの両極端な2つだったのです。
わかりやすく言えば、「俺は最高にイケてる!」とか「世界は自分を中心に回っている」というような自分に過度な自信を持っているタイプと、「僕は何をやってもダメダメだ」とか「自分は人生のサブキャラでしかない」と自らを過度に過小評価してしまうようなタイプの男性が女性に対して敵意や憎悪を抱きやすくなっていました。
こうした両極端の自己評価をする男性たちが女性に攻撃的になる心理的なプロセスについて、研究者らは次のように説明しています。
まず自分を過大評価する男性は、過度な自己愛的傾向を示し、自らの能力を高く見積るため支配的な態度を取りやすく、交際においても優位に立つことを望むため、それが女性への敵対的な態度につながると考えられます。
一方で自分を過小評価する男性は、自らの魅力や能力を低く見積りすぎるため、「どうせ自分が誘ってもダメだろう」と女性に手が届かないことを勝手に欲求不満に感じてしまい、その暗い心理が敵意や攻撃性に変化すると考えられています。
以上の結果は、自己の魅力評価が両極端な男性ほどミソジニー性向を抱きやすくなることを示した初の成果です。
一方でチームは今回の調査について「英国人男性のみを対象としている点から他の人種の男性たちにも同じ傾向が見られるとは限らない」ことに注意を促しています。
そこでチームは今後、英国以外の文化圏を対象とした調査を進めていく予定です。
また今回の報告は、あくまで傾向を示すものであって、条件を満たす男性なら誰でも女性に敵意を抱くと言っているわけではないことをきちんと理解しておきましょう。
参考文献
Very attractive and very unattractive men show the highest hostility towards women
https://www.psypost.org/very-attractive-and-very-unattractive-men-show-the-highest-hostility-towards-women/
元論文
Predicting hostility towards women: incel-related factors in a general sample of men
https://doi.org/10.1111/sjop.13062
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部