- 週間ランキング
宇宙望遠鏡といえば、「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」が有名です。
これはNASAが中心となって開発した赤外線観測用宇宙望遠鏡であり、2021年12月に打ち上げられました。
JWSTは既に大きな成果を収めており、例えば「130億光年以上も遠く離れている銀河」などが観測されています。
さらにNASAは、2027年までには、「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」を打ち上げる予定であり、宇宙の探索は今後さらに加速すると考えられます。
では、これらの計画でNASAは満足しているのでしょうか。
そんなことはないようです。
なんと2040年には、ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡に次ぐ、強力な宇宙望遠鏡が打ち上げられる予定なのです。
その次世代宇宙望遠鏡は、「ハビタブル・ワールド・オブザーバトリー(HWO:Habitable Worlds Observatory)」と名付けられています。
HWOの目的は、太陽系外惑星を直接観測し、その大気成分を詳細に調査することです。
この観測には赤外線や可視光線、紫外線が利用される予定です。
これにより、遠く離れた惑星の熱放射を検出したり、大気成分を分析して生命の痕跡を探ったりできます。
また恒星や惑星の表面の詳細な画像を取得することもできるでしょう。
さらに、HWOの設計には高度なコロナグラフが組み込まれています。
これは、恒星の強い光を遮断し、その近くにある暗い惑星を観測するための装置です。
HWOでは、この装備により、これまで以上に鮮明な観測が可能になるでしょう。
では、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の性能を大きく上回るHWOは、将来どんな成果をもたらしてくれるのでしょうか。
科学者たちは、2040年に打ち上げられるHWOが、「人が住める惑星を発見できるかもしれない」と考えています。
NASAも、HWOのミッションについて、「主な目的は、少なくとも25の居住可能な惑星を特定し、直接画像化すること」としています。
その後、HWOが地球型惑星の大気を詳細に調査し、生命の存在を示す化学的なサインを探すというのです。
例えば、酸素やメタンなどのガスは、生物活動の兆候として注目されており、それらをHWOが見つけてくれるかもしれません。
そしてNASAの科学者であるジェシー・クリスチャンセン博士は、HWOが2040年に打ち上げられてから、それほど遠くないうちに、地球外生命体の証拠や人が住める惑星を発見できると考えており、次のように述べました。
「HWOは、我々が生きている間に、ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)の惑星の大気中に生命の証拠を見つけるだろう」
科学者たちは、HWOによって「2050年までには、人の住める惑星が発見される可能性がある」と考えているのです。
これらを実現させるには、少なくとも技術的な面をクリアしなければいけません。
そのためにもNASAは現在、HWOに用いる「高い安定性を持つ光学センサー」や「高性能なコロナグラフ」の開発に注力しています。
もちろん、科学者たちの主張が正しいかどうかは、2050年が近づかないことには誰にも分かりません。
それでも、次世代宇宙望遠鏡「HWO」は、今よりももっと鮮明に、宇宙の遠くを照らしてくれるはずです。
参考文献
NASA’s alien-hunting telescope could find an inhabited planet by 2050, scientist claims
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-13594211/NASAs-alien-hunting-telescope-inhabited-planet-2050-scientist-claims.html
Habitable Worlds Observatory
https://science.nasa.gov/astrophysics/programs/habitable-worlds-observatory/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部