誰もが一度は触ったことのある「ルービックキューブ」は、子供から大人まで、世界中で高い人気を誇ります。


ルービックキューブを揃える速さを競う「世界ルービックキューブ選手権大会」が開かれるほどです。


しかし、どんなに訓練されたキューバー(愛好家の名称)であっても、ロボットに勝つことはできません。


現在世界記録を持つ三菱電機株式会社が開発したパズルキューブを解くロボット「TOKUFASTbot」は、ルービックキューブをたったの0.305秒で全面揃えられるといいます。


ロボットがこの速度で揃えられるということは、ルービックキューブには明確な回答のロジックがあるということです。


今回は知らないとなかなか揃えられないルービックキューブの6面を簡単に揃えるための方法と合わせて、この驚くべきロボットについて紹介していきます。




目次



  • 三菱が開発した「キューブパズルを解くロボット」がギネス世界記録樹立
  • 簡単にルービックキューブを揃える方法

三菱が開発した「キューブパズルを解くロボット」がギネス世界記録樹立



ルービックキューブと言えば、真っ先にこのGIF画像を思い浮かべるという人も多いかもしれません。


ルービックキューブ(メガハウス社の登録商標)は、80年代初頭に大流行した3Dパズルであり、キューブの6つの面全てを同じ色に揃えることで、「パズルが解けた」ことになります。


現在、ルービックキューブの人間の世界記録は3.13秒であり、2023年にカリフォルニア州出身のマックス・パーク氏によって樹立されています。


それら達人たちの流れるような手付きを見ると、誰もが「人間業ではない」と言いたくなるでしょう。


実際多くの人は、真似してみようと思っても上のGIFのような状態になってしまうため、この画像がウケているのでしょうが、ルービックキューブには明確な解答のためのロジックが存在しており、これを理解しているあっという間に解くことができます。


そのため、適切にブロックを回す機構を備えたロボットなら、驚くような速度でルービックキューブ全面を揃えることができます。


三菱のロボットが一瞬でルービックキューブを解く。※ギネス認定時とは異なる測定方式で撮影したもの / Credit:三菱電機 公式チャンネル(YouTube)_「パズルキューブを最速で解くロボット」ギネス世界記録認定(2024)

これは、三菱電機株式会社が開発したパズルキューブを解くロボット「TOKUFASTbot(トクファストボット)」で、右上のタイマーを見ると分かる通り、漫画でよく見る「この間0.3秒」をガチで実現しています


このロボットは、公式記録0.305秒で全面を揃え、2024年5月21日、ギネス世界記録に認定されました。


これはまさに一瞬の出来事であり、言われないとキューブを回したことにさえ気付けないかもしれません。


動画では一連の動作をスローモーション映像でも記録しているため、これを見ると確かに順番に回転しているのが分かります。



三菱によると、このロボットは、「回転機構に小型・高出力かつ信号応答性の高い三菱製サーボモーターを使用」し、「90°回転0.009秒の動作と独自のAI技術を応用した色認識アルゴリズム」によって、世界最速の称号を得ることができたのだといいます


ギネス世界記録を樹立 / Credit:三菱電機株式会社_「パズルキューブを最速で解くロボット」ギネス世界記録認定(2024)

ロボットの神業を人間が再現することはできないとはいえ、ルービックキューブは実はそれほど難しいパズルではなく、理屈がわかっていれば簡単に解決へ導くことができます。


そのため、ロボットでも人間でも、主に揃える速さに着目される事が多いのです。


ただ、ほとんどの人は、このルービックキューブを揃えるロジックを理解していないため、とても難しいパズルに見えるのです。


ではそのロジックとはどのようなものなのでしょうか?


次項で、その誰でもあっさりルービックキューブを揃えられる、解法について解説します。


これを知っていれば周囲を「あっ」と驚かせることができるでしょう。


簡単にルービックキューブを揃える方法


複雑に思えるルービックキューブですが、実は決まった解き方があります。


以前ナゾロジーでは、ルービックキューブアジア大会2018年「最少手数部門」チャンピオンだった上野柊斗(うえの しゅうと)氏に、インタビューしています。


アジアチャンピオンが伝授!ルービックキューブのはじめかた



彼によると、「初心者こそ解法書に出会ってほしい」と話します。


なせなら、初心者が一番早く上達するコツは、「解法書をともに手順を覚えること」だからです。


そして上野氏が知る限り、「一番親切で分かりやすい」のは、ルービックキューブの元世界記録保持者などが運営するサイトtriboxが発行する解法書です。


そのサイトでは、動画と図解で手順がステップごとに解説されています。


ここでは、その手順を簡単に紹介しましょう。



  1. 白色の十字を作る

  2. 完全一面(最初の一面が揃い、さらにその側面が揃ったもの)を作る

  3. 2段目(真ん中の段)を揃える

  4. 3段目(最後の段)の面を上に向け、角以外の色を揃えて十字の面を作る

  5. 3段目の上面の色を一色に揃える

  6. 3段目の角を調整し、側面の色も揃える

  7. 3段目の角以外を調整し、全面の色を揃える


最初からなんとなく揃えていくのではなく、一段ずつ揃えていくのが成功へのカギです。


気になる方は、下記の動画をチェックしながら、チャレンジしてみてください。


最初は時間がかかるものですが、1度完成させられると、苦手意識が薄れ、簡単にルービックキューブが揃えられるようになってしまいます。


そうなるともう、揃えることが目的ではなく、揃える速さを競いたくなるはずです。


神業に思えた世界チャンピオンや三菱のロボットが、どうやって瞬間的にパズルを解いているのか、それが実感できるようになるでしょう。





全ての画像を見る

参考文献

「パズルキューブを最速で解くロボット」ギネス世界記録認定
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2024/0523.html

Video: Air-con wiring robot sets new Rubik’s Cube world record
https://newatlas.com/robotics/mitsubishi-electric-robot-rubiks-cube/

初めてのルービックキューブ
https://tribox.com/3x3x3/solution/easy/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

情報提供元: ナゾロジー
記事名:「 この間0.3秒!なぜルービックキューブを瞬速で揃えられる人たちがいるのか?