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チームは2022年2月、SMNSを用いてイラン在住の一般成人595名(女性405名・男性190名・平均年齢27.5歳)を対象にオンライン調査を実施しました。
参加者は最低でも毎日15分以上のSNS利用をしていることが条件となっています。
最も利用頻度の多かったSNSは「Instagram(87%)」「Twitter(現X・11%)」「Facebook(2%)」でした。
参加者はSMNSに沿って、SNSの利用頻度・不安やうつ症状・睡眠の質・悪夢の頻度(またその内容)などを回答しています。
そしてデータ分析の結果、1日のSNS利用が多かった参加者ほど、SNSに関連した内容の悪夢をより高い頻度で見ていたことが明らかになったのです。
最も一般的に見られていた悪夢は「何度やってもSNSにログインできない」「SNS上のフレンドやユーザーと連絡が取れず、関係が途絶える」というものでした。
また頻度は少なかったものの、「SNS上でセクハラやストーカーを受ける」とか「IDやパスワードを盗まれる」といった内容も報告されていました。
ただこれらは対象人数が限定されていることや女性が多かったことの影響も受けていると考えられています。
チームは悪夢が発生した原因について、日中のSNS利用におけるネットいじめやオンライン憎悪などの否定的な経験が睡眠中の夢に影響を与えたのでしょうと話しました。
さらに最も重大な発見は、悪夢の経験が心理的苦痛や不安感の増大・睡眠の質の低下・感情的な幸福度の低さと有意に関連していたことでした。
このことはSNSの過剰利用による悪夢の発生が不安症やうつ病の発症につながる危険性があることを示唆するものです。
不安やうつ病は生活の質を大きく落とすだけでなく、本人が自ら命を経ってしまうという最悪の結果を招きかねません。
実際にSNSでのやり取りが原因で自死に至ったケースは世界中で数多く報告されています。
研究主任のレザ・シャバハン(Reza Shabahang)氏は「ソーシャルメディアが私たちの生活とますます密接になるにつれ、その悪影響は日中の時間を超えて、夢の領域にまで及んでいる」と指摘。
その上で「ソーシャルメディアに関連した悪夢の発生を減らすためにも、私たちは責任を持って慎重にソーシャルメディアを使用する必要があるでしょう」と述べました。
それがゆくゆくは命を守る行動につながるかもしれません。
参考文献
Social Media Nightmares: A New Phenomenon
https://news.flinders.edu.au/blog/2024/05/20/social-media-the-stuff-of-nightmares/
元論文
Social media-related nightmare — a potential explanation for poor sleep quality and low affective well-being in the social media era?
https://doi.org/10.1186/s40359-024-01605-z
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部