- 週間ランキング
彼らが行った1つ目の実験では、194人の参加者が、用意された50の雑学(例えば、「コアラの袋は下向きに開く」など)のうち、25個をランダムで見せられました。
次の段階で参加者たちは、50の雑学全て(つまり、そのうちの25は「繰り返される情報」となる)を確認し、それらの情報を以前(実験前)から知っていたかどうか回答するよう求められました。
その結果、参加者たちは「繰り返される情報」を「以前から知っている」と回答する傾向が有意に高いと分かりました。
別の実験では、1つ目の実験と同様の手順を進め、追加で、参加者の「以前から知っていた」という回答に対して、どこでその知識を得たのか答えるよう求めました。
参加者は「本で読んだ」「テレビで見た」「インターネットで見た」「覚えていない」などの回答だけでなく、「やっぱり知っているわけではなかった」という訂正も選ぶことができました。
しかし、参加者たちは繰り返された情報に関して、「やはり知っているわけではなかった」と自分の回答を訂正することはほとんどなかったのです。
この結果は、繰り返される情報が、情報源に関しても強い錯覚効果をもたらすことを示しています。
さらに別の実験では、最初の実験と同じ形式でしたが、50の嘘の雑学(例えば、「ゴルフはもともとミントネット呼ばれていた」など)が扱われました。
この実験でも、参加者たちは繰り返される情報を「以前から知っていた」と答える傾向が高いと分かりました。
また情報源の提示を求める質問をしても、以前から知っていたことを訂正する参加者はほとんどいませんでした。
つまり、仮に偽りの情報だったとしても、それらが繰り返されることで、人はその情報を信じ、「以前から知っていた」と強く錯覚すると分かります。
これらの結果は、フェイクニュースが与える影響の恐ろしさを示しています。
何度も同じニュースが報道されることで、たとえその情報が偏っていたり、全くの嘘だったりしても、人々はそれを以前から知っていたかのように感じ、場合によっては「周知の事実」「常識」だと考えてしまうのです。
参考文献
Does repeated information trick us into thinking we knew it all along? New study has an answer
https://www.psypost.org/does-repeated-information-trick-us-into-thinking-we-knew-it-all-along-new-study-has-an-answer/
元論文
Illusions of knowledge due to mere repetition
https://doi.org/10.1016/j.cognition.2024.105791
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部