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チームはこれと別に、315名の一般男女を対象に、白人以外のアフリカ系やアジア系の顔も混ぜた同様の実験を行いました。
すると、興味深いことに、アフリカ系やアジア系を含む有色人種の顔では、AI生成画像を本物と判断する割合が減少したのです。
確かにAI生成の顔を「本物」と混同するケースも多くありましたが、その差は有意なものではありませんでした。
下のグラフは「AI生成の顔(紫)」と「本物の顔(オレンジ)」について、「本物の人間の顔(縦軸)」と答えられた割合を示したものです。
一番左の有色人種の顔を扱った実験では、「本物の人間の顔」と答えられた確率がほぼ同等であることが分かります。
対して、右2つの白人の顔を扱った実験では、AI生成の顔(紫)を「本物」と答える確率が明らかに高くなっていたのです。
この理由について研究主任のエイミー・デウェル(Amy Daewel)氏は「顔画像を生成するAIアルゴリズムが主に白人の顔に偏って訓練されているためだ」と説明します。
リアルな顔画像の生成には「StyleGAN 2」というAIが一般的に使われていますが、そのトレーニングに使用される画像サンプルは白人の顔が69%、その他の有色人種が31%となっているという。
そのため、AIは白人の顔を生成する能力に長けており、アフリカ系やアジア系の顔ではまだ彼らのリアルな特徴を掴みきれていないと考えられるのです。
以上の結果から、白人の顔に関してはもはや「AI」と「リアル」を見分けられないレベルにまで達していると結論できます。
また白人だけ本物との見分けがつかない原因はAIの訓練の偏りが原因と予測されているため、今後すべての人種でAI生成による人間の顔が見分けの付かないレベルに達する可能性があります。
AIはこうしている間にも急速に成長しており、世界中のあらゆる人種の顔を参考にしたトレーニングを続けています。
今はまだAIの生成した日本人やアフリカ人の顔に違和感を抱く人が多いかもしれませんが、そうした違和感はすぐになくなってしまうでしょう。
デウェル氏は「人間の目ではAIが作った顔を見分けられなくなっていることを考えると、社会の側がAIのニセ画像を正確に識別できるツールを実装しなければならないだろう」と述べています。
参考文献
AI faces look more real than actual human face https://reporter.anu.edu.au/all-stories/ai-faces-look-more-real-than-actual-human-faces元論文
AI Hyperrealism: Why AI Faces Are Perceived as More Real Than Human Ones https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/09567976231207095