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今回、研究チームは、「リモート会議」とリアルで行う従来の「対面会議」がそれぞれの参加者に与える影響を調査しました。
調査に参加したのは、44人の会社の従業員たちであり、約400回の会議を通じて、様々な種類の疲労と関連性が分析されました。
彼らはリモート会議と対面会議に参加し、会議中の活動や心拍数などが記録されました。
その中では、強い負荷がかかることから来る疲労だけでなく、負荷が少なすぎることから来る疲労や眠気なども調べられています。
また参加者たちには、会議終了後に認知タスクを行ってもらい、会議がどの程度認知機能に影響を与えているか調査されました。
加えて、参加者が普段、仕事に対して熱心に取り組んでいるかどうかもアンケートがとられました。
調査と分析の結果、次のことが分かりました。
まず仕事に熱心に取り組んでいる従業員は、会議の形式(リモートか対面か)の影響をほとんど受けませんでした。
彼らは、たとえリモート会議だったとしても能動的に参加しており、会議中も集中力を維持していました。
そして会議後も特に疲れたとは感じなかったのです
一方、仕事にやりがいを感じておらず、あまり熱心でない従業員は、「リモート会議は非常に疲れる」と感じていました。
彼らはリモートだと会議や仕事に集中できておらず、すぐに眠たくなっていました。
これらの結果から、研究チームは「リモート会議が対面会議より疲れるのは、精神的負荷が不足していたり、退屈に感じたりするから」だと推測しています。
実際の対面の会議では会社の会議室に集まり、上司などと同じ部屋で話し合うため緊張感が生じますが、リモート会議ではそういった緊張感が低下します。
仕事に対するモチベーションが高い人は能動的なので、リモート会議でも自分から多くの刺激を受けますが、モチベーションの低い人は受動的なので、環境が与える刺激の少なさの影響をダイレクトに受けてしまう可能性があるのです。
そんな「退屈なリモート会議中」裏でコソコソと別の作業を行っているという人も多いかもしれません。
刺激が少なく集中力の低下で眠くなるのがリモート会議疲れの原因だというのなら、この裏で別の作業するのは良い解決策と言えるのでしょうか?
実は、「疲れ」という観点では、そのようなマルチタスクは逆効果なようです。
今回の研究でもカメラがオフの場合、参加者はその刺激不足や退屈をマルチタスクで補い始めることがあったといいます。
しかしそのようなマルチタスクは、アクティブなタスクを常に切り替え続けているため、脳に強い負担がかかります。
会議中に別の作業をしようとすると、どちらにも集中できず、脳の負担だけが増大して、結局疲れてしまうというのです。
対面であっても多くの会議は無駄が多く意味がないと言われがちです。リモート会議ではその問題点が特に強調されてしまう可能性はあるでしょう。
しかしリモート会議が退屈だからといって、裏の作業に逃げたり、ダラダラとした態度で参加するのは悪手なようです。
リモート会議の疲れを低減させるためには、モチベーションを高めて積極的に会議に参加するのが1つの解決策になるかもしれません。
参考文献
Virtual meetings tire people because we’re doing them wrong https://www.aalto.fi/en/news/virtual-meetings-tire-people-because-were-doing-them-wrong元論文
Virtual Meeting Fatigue: Exploring the Impact of Virtual Meetings on Cognitive Performance and Active Versus Passive Fatigue https://psycnet.apa.org/fulltext/2024-19786-001.html