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サン・ベレク石板は1900年に、ブルターニュ地方のルアン(Leuhan)にある約4000年前の青銅器時代の墳墓で発見されました。
サイズは1.53×2.2メートルで重さは約1トンに達しますが、石が割れて欠損した痕跡が見られるため、本来は4メートル近い長さがあったと見られています。
石板の表面には謎めいた幾何学模様が刻まれていましたが、発掘を主導したフランス人考古学者ポール・デュ・シャトリエ(1833〜1911)はそれをあまり重要とは考えず、詳しい調査もしませんでした。
結局、サン・ベレク石板はルアンの南西40キロにあるデュ・シャトリエ所有のケルヌーズ城の中で忘れ去られます。
それから月日が経った2014年、サン・ベレク石板は西ブルターニュ大学やフランス国立科学研究センターの考古学者らによって再発見されました。
そして2017年に共同研究チームは、石板に刻まれた謎の幾何学模様の解読を本格的にスタート。
すると驚くことに、この石板は約4000年前のルアンに存在した何らかの領土を示したヨーロッパ最古の地図であることが判明したのです。
この発見は2021年に発表されていますが、チームはその後も石板の解読を続けていました。
そしてこのほど、サン・ベレク石板は失われた遺物のありかを示す”宝の地図”である可能性が出てきたのです。
チームは石板に刻まれた幾何学模様や形状、凹凸や窪みをこと細かに分析しました。
その結果、研究主任のイヴァン・ペラー(Yvan Pailler)氏は「意味のあるいくつかのシンボルがすぐに特定された」と話します。
石板に見られる一部の凹凸と線が、ブルターニュ地方のルドゥアレックにある川や山の位置と一致したのです。
さらに石板をスキャンして今日のブルターニュ地方の地図と比較したところ、驚くべきことに約80%の精度で2つの地図が一致しました。
ペラー氏によると、石板の地図はおよそ30×21キロメートルの範囲を示しており、今日のブルターニュ地方に重ねるとだいたい以下のようになるといいます。
チームが今回の調査で最も注目したのは、石板のあちこちに見られる小さな窪みでした。
穴を掘ったような跡に見えますが、今日のブルターニュ地方にはそれらの場所に合致する山や川などはありません。
しかし、当時の人々が何の意味もなく地図上にいくつも窪みを刻印するとは考えにくいことです。
そのことからチームは、これらの窪みは当時存在した住居や墳墓、何らかの遺物のありかを示したマーカーなのではないかと推測しました。
地図を作成した人々からすれば、単純に建物や墓の位置を示す印だったのかもしれませんが、現代の私たちにとっては貴重なお宝に変わります。
具体的にどんな物が見つかるかは分かりませんが、それらの位置を掘り進めることで4000年前に失われた遺物が見つかるかもしれないのです。
ペラー氏もこの解読結果を受けて「これは宝の地図だ(It’s a treasure map)」と話しています。
チームは現在、石板の残りの断片が見つかる可能性があると考えて、最初にサン・ベレク石板が発掘された場所で新たな発掘調査を進めているとのことです。
研究者らは、正確で効率的な宝探しをするには、石板に記された地図の全体像を明らかにする必要があると述べました。
一方で、ペラー氏は”古代の地図を使った宝探し”というインディ・ジョーンズ的世界に飛び込もうとしていることに興奮しています。
「当時の地図を使って遺跡を探すのはとても素晴らしいアプローチです。私たち考古学者は普段そのような手順は決して取りませんから」
実際、古代の遺跡は基本的に高性能のレーダー装置や航空写真、あるいは都市部で新築のための基礎工事をしている際に偶然発見されることがほとんどです。
もしこの地図により失われた遺構が発見されれば、考古学史に残る快挙となるでしょう。
参考文献
Strangely Engraved Rock Is Giant ‘Treasure Map’, Archaeologists Say https://www.sciencealert.com/strangely-engraved-rock-is-giant-treasure-map-archaeologists-say A Bronze Age Rock Has Become a ‘Treasure Map’for Researchers https://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/saint-belec-slab-0015166 LA PLUS ANCIENNE CARTE D’EUROPE ? https://www.inrap.fr/la-plus-ancienne-carte-d-europe-15574#