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しかし、私たちの目が届かない森の中、彼らはなんとも可愛らしい行動をとっているのです。
クマたちは木のそばで体をくねらせてダンスすることがあり、その様子はまるで「激しいポールダンス」のようです。
では、どうしてクマたちは木のそばでダンスするのでしょうか。
目次
カナダのアルバータ州には大型のハイイログマ(学名:Ursus arctos horribilis)が生息しています。
「グリズリー(Grizzly)」という英名は、日本でもよく知られていますね。
最大級の個体では体重が450kgにもなるハイイログマは、多くの人にとって恐怖の対象です。
しかし、そんな恐ろしいイメージを和らげるかのような動画が記録されています。
YouTubeチャンネル「AlbertaParks」が以前に投稿した動画では、遠隔カメラが捉えたハイイログマたちの不思議な行動が映し出されています。
1本の木を中心に、まるでポールダンスするかのようにクマが踊っているのです。
しかも時間が経つにつれて複数のクマが集合して、一緒にダンスしています。
何とも微笑ましい映像ですね。
ちなみに「クマのポールダンス」が記録されたのはこの時が初めてではなく、他の動画もいくつか存在しています。
では、どうしてクマたちは木の周辺でダンスするのでしょうか。
お気づきの通り、これらはダンスではなく、木に身体をこすりつける動作です。
これまでの観察や研究からすると、この行動にはいくつかの理由が考えられるようです。
1つは、「木に自分の匂いをマーキングする」というもの。
例えばある谷には、30頭ものクマが生活しています。
クマ同士の戦いは双方が瀕死の重傷、もしくは殺し合いに発展することがあり、マーキングで自分の縄張りを主張することで、不要な争いを避けることができると考えられます。
ただし、こうした理由でマーキングを行うのは、基本的に雄グマだけなのだとか。
そのため皆で仲良く体をこすりつけている場合には、別の理由があるのかもしれません。
他の理由として考えられるのは、「虫よけ」です。
生物学者たちは長年、クマたちが針葉樹やブナの木に身体をこすりつける様子を観察してきました。
特にブナの木が分泌する油分(木タール)は、ダニ忌避剤として作用することが実験で明らかになっており、クマたちはダニから身を守るためにブナの木に身体をこすりつけている可能性があります。
もちろん、単純に背中が痒い場合や、身体に付着した虫や余分な毛を落とす場合にも同様の行動をとるでしょう。
いずれにせよ、このクマのこすりつけ行動は未だ完全には解明されておらず、人間が直接見ることも滅多にありません。
私たちにとって恐ろしいクマたちは、今日も人知れず、森の中でポールダンスに励んでいるのです。
参考文献
Bears in the forest: What goes on when you are not there…