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次に、南米最大のイヌ科であるタテガミオオカミもサイズや毛色が大きく違うことから除外されています。
残る候補はカニクイイヌとパンパスギツネですが、この2種は毛色やサイズともに「保護された動物」と共通点があり、どちらも親となりうる可能性があります。
見た目ではこれ以上の判断は出来ないため、研究者たちはここまで絞った候補2種と「保護された動物」の3種で遺伝子の比較分析を行うことにしました。
すると保護された動物は、家畜種である何らかのイエイヌ(Canis familiaris)とパンパスギツネとの組み合わせでのみ生まれうることが判明したのです。
特に遺伝子データからは、母親がパンパスギツネで、父親が犬種不明のイエイヌであることが特定されました。
研究者いわく、犬とキツネのハイブリッド種が確認されたのは世界初とのことです。
またパンパスギツネの属するスジオイヌ属(Lycalopex)と一般的なイヌ属(Canis)との繁殖が可能であることを示した初の貴重な報告でもあります。
チームはこのハイブリッド種に「グラコソーラ(graxorra)」 と 「ドギシム(dogxim)」 という2つの名前を与えました。
graxorraは、パンパスギツネのポルトガル語名である 「グラクサイム・ド・カンポ(graxaim-do-campo)」 と、メス犬を意味する「カチョーラ(cachorra)」との造語。
dogximは、グラクサイム(graxaim)の頭をドッグ(dog)に取り替えた造語です。
研究主任の一人であるフラビア・フェラーリ(Flávia Ferrari)氏は「彼女は内気で慎重な性格で、当初は人を警戒していましたが、時間が経つにつれて徐々に慣れ始めました」と話しています。
その後、彼女は同センターで完全に回復し、別の町の動物保護センターに移されましたが、今年に入り原因不明の死を遂げているそうです。
チームは現在、彼女のようなハイブリッド種が同地の野生下でどれくらい起こっているかの調査を始めています。
というのも近年は人の住む地域の拡大に伴い、人間と野生動物だけでなく、人の飼っているペットと野生動物との接触の機会が増加しているからです。
これは病気の伝染だけでなく、今回のようなハイブリッド種が発生する可能性を高めます。
もしかしたらグラコソーラ(あるいはドギシム)も、何らかの理由で野生に戻ったオスの飼育犬が、メスのパンパスギツネと交配して生まれたのかもしれません。
参考文献
First Documented Case Of Hybridization Between A Dog And A Pampas Fox https://www.iflscience.com/first-documented-case-of-hybridization-between-a-dog-and-a-pampas-fox-70706 Fur real? World’s first dog-fox hybrid identified in Brazil https://tvpworld.com/72717594/fur-real-worlds-first-dog-fox-hybrid-identified-in-brazil元論文
Hybridization in Canids—A Case Study of Pampas Fox (Lycalopex gymnocercus) and Domestic Dog (Canis lupus familiaris) Hybrid https://www.mdpi.com/2076-2615/13/15/2505