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スーパームーンとは、その年でもっとも地球に近い満月のこと。天文用語ではないのですが、一般的にそう呼ばれるようになっています。
毎月お目にかかる満月ですが、月は地球の周りを正円ではなく、楕円軌道で公転しています。また、月の軌道は太陽や地球などの重力の影響も受けています。
そのため、満月の地球からの距離は毎回異なり、1年で地球からもっとも遠い満月と、もっとも近い満月が存在することになります。
2023年の場合、地球からもっとも遠い満月はすでに終わっていて、2月6日でした。そして、もっとも近い満月が8月31日に訪れます。
スーパームーンはだいたい1年に1回見られるものの、もっと珍しいのはブルームーンです。ブルームーンとは、同じ月に見られる2度目の満月です。
月の満ち欠けの周期は約29.5日のため、「31日まである月」で「1度目の満月が1日か2日」だった場合、ブルームーンとなる可能性があります。
2023年8月は2日が1度目の満月だったので、31日に2度目の満月を迎えることとなりました。
ブルームーンが見られる頻度は約2年半に1度。
しかし、今年はそれにスーパームーンの日が重なるので、なかなか珍しいと言えるでしょう。
月に2度目の満月は、なぜブルームーンと言われるようになったのでしょうか?
一説としては、「2度の満月」という意味のフランス語「la Double Lune」が「double lune」→「de bluh loon」→「the blue Moon」というように英訳されるときに誤訳されて生まれた、というものがあります。
また、19世紀にアメリカのメイン州で発行された「農民年鑑」に由来する説もあります。
1年は12カ月なので、春夏秋冬それぞれで1つの季節は3カ月となり、通常は1つの季節に満月は3回あります。
ただ、たまに1つの季節に4回の満月がくるケースもありました。この暦の区切りにおいては、4回目の満月がある季節では、3回目に昇る満月のことを「ブルームーン」と呼んでいたのだそうです。
複数の海外の国では、月ごとの満月に季節を反映した名前が付けられており、最近は日本でも1月は「ウルフムーン」6月は「ストロベリームーン」などの呼び方が知られていますよね。
イレギュラーな「3回目に昇る満月」を「ブルームーン」と呼ぶのは、これらの満月の呼び名と混同しないためだったようです(閏年のカレンダーの調整みたいですが)。
この「ブルームーン」がその後、月に2度目の満月の呼び名になったのは、1946年にアメリカの天文誌「Sky&Telescope」でアマチュア天文学者のジェームズ・ヒュー・プルイットが書いた「ブルームーン」という記事によります。
プルイットは、先ほどの「農民年鑑」に記載されていた「ブルームーン」という用語の使用法を簡略化し、ひと月の間に起こる2回目の満月と紹介してしまいました。それが広まって、一般に定着してしまったということです。
ブルームーンの日は「ロマンチックな青い月が見えるのでは?」と思わず期待してしまいますよね。
色と月というと、さきほどあげたアメリカでの月ごとの満月の呼び方の中にも「ピンクムーン」があります。4月の満月です。
しかしこれは北アメリカの先住民が、その時期に咲く「フロックス」という花の色にちなんで名付けたことが由来であり、実際に月がピンク色に染まると言っているわけではありません。
さきほど由来について説明しましたが、ブルームーンもこれと同様で、残念ながら青い月が見えるわけではありません。
とはいえ、本当に月が青く見えるケースはあります。
高度が低い月は、夕日と同様に赤っぽく見えますよね。天体の高度が低いと、波長の長い赤い光の方が地球に多く届くので、赤い色が強く見えます。
また、空が青いのは大気中の微粒子によって、波長の短い青い光がより散乱されて、人の目に入ってくるからです。
この大気中のチリやホコリが月の見え方にも影響し、月が本当に青く見えることがあります。
実際、1883年にインドネシアの火山の爆発で、約2年間月が青く見えたのだとか。
そんな大規模な火山は起こってほしくないですが、本当に青いブルームーン、一度見てみたいものですね。
月は絶えず満ち欠けしているので、日付が変わるタイミングで形が変わるわけではありません。
8月31日は、月が満月となるのは10時36分なので、日本では月が見えない時間帯です。
日本(東京)の8月31日の月の出る時間は、18時36分です。
月が欠ける前に満月になってからなるべく早い時間に見たほうがいいのと、昇った直後の方が月が大きく見えるので、見やすい高度になってくる19時30分頃に東の空を観測することをおすすめします。
高度が高い月の方が青っぽく見えるので、「スーパームーン」らしい大きさをとるか、少しでも「ブルームーン」という言葉の雰囲気を楽しむかは迷うところかもしれませんね。
ただ、夏の月は南中高度があまり上がらないので、大きさを優先したほうがいいのではないかなと思います。観測する場所も月が建物に隠れないよう、ひらけたところにしましょう。冬だとこの場所から見えたのに…という満月も、夏だと見えないかもしれません。
ちなみに、今年のスーパームーンの満月は、もっとも遠かった2月6日の満月に比べて、視直径が約14%大きく、光っている面積も約29%広く見えるのだとか。
2つの月を並べて観測するわけではないので、実感するのは難しいですが、もっとも大きく明るい月なのは確かです。
今の時期だと晴れる可能性は高いですし、月は肉眼で気軽に楽しめる天体です。
せっかくのスーパーブルームーン、観測してみてはいかがですか。見たら大きな幸せが手に入るかも?
参考文献
ASTROGUIDE 星空年鑑2023 https://www.amazon.co.jp/dp/4048997122 国立天文台 2023年 地球から最も近い満月 https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/08-topics05.html INTERNATIONAL PLANETARIUM SOCIETY https://www.ips-planetarium.org/page/a_hiscock1999 SKY&TELESCOPE https://skyandtelescope.org/astronomy-news/true-blue-moon/ 大阪大学理学研究科 https://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/wp-content/themes/rigaku_r/qa-pdf/qa12.pdf