- 週間ランキング
見分け方ですが、夏の大三角は三角形といっても正三角形ではなく、二等辺三角形に近い形をしています。
この二等辺三角形の底辺を作るのがベガとデネブで、頂点にある星が鷲座のアルタイル。七夕の彦星です。
なので、ベガの近くに見える方がデネブです。
七夕の物語のイメージから、織姫と彦星でセットということで、ベガとアルタイルの方が近くにあると勘違いしてしまう人もいるので、要注意。
とはいえ、はくちょう座は「北十字星」と異名を持つとおり、星の並びが白鳥が羽を広げた形をしており、十字の形をしていることで見分けることができます。白鳥の尻尾にあたる部分の星が、1等星のデネブです。
ちなみに「デネブ」って「お尻」っていう意味なんですよ。
はくちょう座流星群の放射点は、この白鳥の左の羽の先にあります。
街明かりで小さな星が見えにくかったら、上の図を参考にしてみてください。
方角は北を向いて、北斗七星とデネブの間に放射点がある、とざっくり把握するくらいでも大丈夫です。
はくちょう座流星群を観測する際、せっかくはくちょう座を探すので、注目して欲しいのがアルビレオです。
はくちょうのクチバシにあたる星で、夏の星空観望会で人気の観望対象です。
肉眼ではひとつの星に見えるものの、望遠鏡をのぞくと2つの星が並んで見えます。このような星のことを二重星といい、有名な星では北斗七星を構成する、「七つの星」の中にもあります。
アルビレオが二重星の中でも人気なのは、ひとつの星は黄色でもうひとつの星は青色をしているため。引き立て合う色なので、並んだ様子がとても美しいからです。
また、アルビレオは宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の話で登場することでも有名です。
はくちょう座にある「アルビレオの観測所」で、天の川の速さを測る装置として出てくるのですが、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパーズ)の2つの宝石がくるくる回る様子で表現されています。
そのうえ、低倍率の望遠鏡でも2つの星が見えるのも人気の理由です。数多くある二重星のなかでも、離角がかなり大きいからです。月や惑星をメインで観測する「初心者向け」とされる望遠鏡でも見えて、満足度が高いです。
そして…なんと、望遠鏡よりもっと手軽に使える双眼鏡でも2つの星を見ることができるんです。
天体観測でもよく使われるスペックの、10×50mmの双眼鏡です。アルビレオを黄色と青の2色で分離して見ることができます。
ただし、手ぶれをするとこのような細かいものまで見えなくなってしまうので、三脚は必須。
なお、以前に双眼鏡でガリレオ衛星を観ることができると記事で紹介しましたが、そのときの双眼鏡と同じものです。
ガリレオ衛星も手持ちだと手ぶれして見えないので、同じく三脚を使って観測しました。
家に双眼鏡と三脚がある人は、観測に挑戦してみてはいかがでしょうか。普段使っていた機材で、思わぬものが見られるのは得した気分になりますし、世界が広がりますよ!
参考文献
ASTROGUIDE 星空年鑑2023 https://www.amazon.co.jp/dp/4048997122 BBC Sky at night MAGAGINE https://www.skyatnightmagazine.com/astrophotography/stars/albireo