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また、しゃっくりの止め方としては、皆さんも色々な方法を聞いて実践したことがあるでしょう。
最もスタンダードな方法は「深呼吸」です。
10秒かけて深く息を吸い込み、そのまま10秒ほど息を止めて、また10秒かけてゆっくりと吐き出します。
こうすることで横隔膜のリズムが正常に戻り、痙攣が止まりやすくなるのです。
他にも、冷たい水を飲む、うがいをする、紙袋の中に息を吹き込む、誰かに驚かしてもらうなど、様々な方法を試したことがあると思います。
しかし日常的に体験する突発的なしゃっくりであれば、無理に止めようとしなくても自然と止まります。
問題は長期にわたって長引く「慢性しゃっくり」です。
しゃっくりの大半は数分〜数時間で収まりますが、中には数日間かそれ以上つづく場合があります。
医学的には、2日以内で収まるものを「急性吃逆」、2日以上つづくものを「慢性吃逆」、1カ月以上つづくものを「難治性吃逆」と分類されます。
急性吃逆は特に心配いりませんが、慢性吃逆と難治性吃逆に関しては、別の病気によって引き起こされている可能性が高いです。
例えば、消化器系なら「逆流性食道炎」「消化性潰瘍」、中枢神経系なら「脳梗塞」「脳出血」「脳腫瘍」「脳動脈瘤」、呼吸器系なら「副鼻腔炎」「睡眠時無呼吸症候群」などが疑われます。
その他の原因としては、慢性的なストレス状態や暴飲暴食の習慣、睡眠薬や抗がん剤といった薬剤の服用も考えられます。
長引くしゃっくりは、こうした別の疾患を治療したり、習慣を改善することで治ることが多いようです。
では、68年間もしゃっくりが止まらなかったチャールズ・オズボーンは、何が原因だったのでしょうか?
チャールズ・オズボーンは1894年12月18日に米ミズーリ州で生まれ、その後、養豚場で働くようになります。
ところが1922年6月13日、仕事中に突如としてしゃっくりが出始めたのです。
1982年のインタビューで彼はこう話しています。
「屠殺のため、350ポンド(158キロ)もの豚を吊るそうとしたら転んでしまったんだ。
特に痛みは感じなかったが、後で医者に聞くと、そのときに脳の血管が破れた可能性が高いらしい」
それ以来、オズボーンのしゃっくりは止まらなくなってしまいました。
彼を診察したテレンス・アンソニー医師は「転倒による脳の損傷で、しゃっくり反応を抑制するための脳幹の一部が壊れたのではないか」と推測しています。
オズボーンは長距離を旅して何人もの医者を訪ねましたが、結局、しゃっくりを止める方法は見つかりませんでした。
それでも彼は決してユーモアを忘れず、生涯にわたって自身の病気と向き合いました。
普通の人よりも元気な生活を送り、2度の結婚をして、8人の子供をもうけたそうです。
また、しゃっくりを止める代わりに、しゃっくり音を最小限に抑える呼吸法をトレーニングによって習得しました。
そのおかげで、私たちがするような「ヒック、ヒック」という音は出なくなったという。
こうして68年の月日が経った1990年にオズボーンのしゃっくりは始まりの日と同じく、突如として止まりました。
原因はまったく不明のまま、それから1年後の1991年5月にオズボーンは96歳でこの世を去ります。
最後の1年間はしゃっくりとは無縁の穏やかな生活を送れたようです。
オズボーンは平均して1分間に20〜40回のしゃっくりを経験しており、単純計算で一生涯に約4億3000万回のしゃっくりをしたと推定されています。
参考文献
The Incredible True Story of The Man Who Had Hiccups For 68 Years https://www.sciencealert.com/the-incredible-true-story-of-the-man-who-had-hiccups-for-68-years Charles Andrew Osborne https://www.findagrave.com/memorial/19903481/charles-andrew-osborne The Curious Case of Charles Osborne, Who Hiccupped for 68 Years Straight https://www.smithsonianmag.com/history/the-curious-case-of-charles-osborne-who-hiccuped-for-68-years-straight-180980232/