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研究チームは4歳から80歳までの子どもと大人453名を対象に、目玉焼きや洗濯機などの、100枚以上の日常的な物体が写った画像を見てもらい、画像の中に顔を認識することができるかどうか、また見えた顔が女性・男性どちらの顔に見えるのかを回答してもらいました。
実験で使用された画像は上記のように、顔に見える画像、顔に見えない画像の他に人間の顔が写っている画像の3種類が用意されていました。
さて、「顔のパレイドリア現象」は年齢によって違いは見られたのでしょうか。
実験の結果、顔のパレイドリアの現象は、年齢を問わず、幼少期の子どもから高齢者まで見られることが確認されました。
しかし、上記の画像に示されるように年齢によってどのような無生物が顔に見えるかには違いがありました。
そして顔のパレイドリア現象で見える顔は、女性よりも男性の顔のように見えることも報告されています。
上のグラフを見ると性別の評価について男性と判断した画像の数が年齢を問わず多く集まっているのが分かると思います。(グラフの右側ほど男性に見えるという評価を示す)
見える顔が男性に見える確率は女性に見える確率の2倍以上になりました。
具体的に「顔のパレイドリア現象」で女性と男性の顔に見える画像は以下のようなものでした。
しかし、なぜ物を顔として認識した際、多くの人がそれを男性であると感じてしまうのでしょうか?
「顔のパレイドリア現象」は人間の顔を検出する能力が高いゆえの、副産物として生じる錯覚現象です。
進化的観点から見ると、顔を見逃さないことは外敵の存在に気づくために有利に働くと考えられます。そして無生物が顔を見えてしまう大きなデメリットは特に無いでしょう。
これにより顔のパイドリア現象が生じるようになったのだと考えられます。
そして今回の研究結果は、「顔のパレイドリア現象」があらゆる年代で男性の顔と認識されやすいことを示しています。
この事実は、発達の初期段階(今回の研究では5歳頃)から性別を判断する際に、顔の認識が重要な手掛かりになっていることを示唆しています。
しかし、なぜ無生物を顔と判断した際に、男性と認識しやすいのでしょうか?
この理由については、まだ明確な答えは出ていません。
ただ研究者は、レゴのキャラクターの顔などでも、女性と認識させる際にはまつげや長い髪などの特徴を付けるのが一般的なため、女性を示唆する特徴がない限り、人はデフォルトで顔を男性と認識するのではないかと述べています。
参考文献
Americans tend to see imaginary faces as male, not female. https://www.snexplores.org/article/faces-objects-imaginary-male-female-perception-pareidolia元論文
Children perceive illusory faces in objects as male more often than female. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36791506/