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また楽譜を見てみると、音符の長さは分数で表現されています。
音符の基本となる全音符を1として、その長さを半分にしたものが2分音符、4分したものが4分音符、8分したものが8分音符です。
この他にも音と数字に見出される共通点は数えきれないほど存在します。
これを関連するように、過去の研究では「音楽の得意な子供ほど算数も得意になる傾向が強い」ことが示されていました。
音楽と数学の類似性からすると直感的には納得できますが、一方で「音楽を学ぶことで本当に算数の成績が良くなるのか」は明らかにされていません。
そこで研究チームは、その詳細を探るべく、1975年から2022年の間に発表された同テーマに関する先行研究を学術データベースから収集して分析することにしました。
最終的に世界中の55の先行研究が集められ、対象データには幼稚園児から大学生にいたる約7万8000人が含まれていました。
これらの研究では、音楽学習の介入の前後で算数あるいは数学のスコアがどう変化したかが調べられています。
今回のメタ分析によると、数学スコアに影響する音楽介入には3つの種類がありました。
1つ目は、子供や学生たちが歌を歌ったり、音楽を聴いたりする「標準的な音楽レッスン」。
2つ目は、子供や学生たちが個人または楽隊、バンドの一員として楽器の演奏方法を学ぶ「器楽レッスン」。
3つ目は、算数や数学の授業に何らかの方法で音楽を取り込む「音楽と数学の統合レッスン」です。
そして、これらの介入に参加する前後で生徒が数学のテストを受け、その点数の変化を介入に参加しなかった若者と比較しています。
今回のメタ分析の結果では、音楽の介入は、それが個別の授業であろうと数学の授業に取り入れた形であろうと、その後のスコアをより向上させることが判明しました。
中でも、音楽と算数(数学)を統合した3つ目のレッスンが最も大きな学習効果を示していました。
ここではレッスンを受けた生徒の約73%が何らの音楽介入も受けなかった生徒より有意に成績が良くなっていたのです。
また独立した音楽のレッスンだけでも、算数(数学)のスコアに向上が見られています。
標準的な音楽レッスンを受けた生徒では58%が、楽器演奏のレッスンを受けた生徒では69%が、音楽介入を受けなかった生徒よりもテストの成績が良くなっていました。
一体どのようなメカニズムで音楽学習が算数(数学)のスコア増進につながったのかは分かっていませんが、この結果は音楽への積極的な取り組みが子供や学生の算数(数学)ぎらいを緩和するのに役立つことを示しています。
特に算数や数学の授業に音楽を織りまぜることで、数字への不安を和らげ、授業への取り組みをより楽しいものにできるかもしれません。
例えば、学校で算数と音楽の先生が一緒に協力して、合同授業を行うことも非常にいいアイデアでしょう。
他方で研究主任のアイサ・アキン(Ayça Akın)氏は、メタ分析の限界点として、対象とした研究の数があまり多くなかったことを挙げています。
そのため、男女での性差や家族の社会経済状況、音楽を習っている期間の長短など、介入後の学習効果に影響を及ぼす可能性のあるさまざまな要因を調べることができませんでした。
チームは今後、その点を含めた研究を続けていきたいと考えています。
参考文献
Combining math with music leads to higher test scores, according to review of 50 years of research https://phys.org/news/2023-06-combining-math-music-higher-scores.html Half a Century of Reserach Reveals that Fusing Music and Math Can Lead to better scores https://www.universal-sci.com/article/mixing-music-and-math-can-lead-to-better-performance元論文
Let me make mathematics and music together: A meta-analysis of the causal role of music interventions on mathematics achievement https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/03055698.2023.2216826