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ガタガタと音を立てながら引きずったり押したりしたことがある人も多いでしょう。
オランダの家具デザイナーであるウーター・シューブリン氏は、自分の足で歩く不思議なテーブル「ウォーキングテーブル」を発明しました。
人間が押したり引いたりして力を加えると、テーブルがまるで生きているかのように8本の足を上下前後に動かして歩くのです。
目次
シューブリン氏が開発した「ウォーキングテーブル」は、一見何の変哲もないテーブルのように見えます。
テーブルの足が少し多いと感じるくらいです。
ところがこのテーブル、人間が押したり引っ張ったりすると、8本の足で歩行するように作られています。
ウォーキングテーブルが歩くためには人間の力を加える必要があるため、「テーブルが自力で歩く」とは言えませんが、テーブルを移動させる際に足を引きずることはなく、床を傷つけないというメリットがあります。
そしてどこか生き物を連想させる独特の足の動きが特徴的です。
人が押している姿はシュールですが、テーブルの歩行自体は、カニやヤドカリが歩いている姿に似ていますね。
この作品は、同じくオランダの彫刻家テオ・ヤンセン氏が作る芸術作品「ストランドビースト」の動きにも似ています。
ヤンセン氏は自身が開発した「ヤンセンのリンク機構」によって滑らかな動きを生み出しています。
一方シューブリン氏は、ヤンセン氏とは異なるものの、一般的な「リンク機構」によって足の動きを生み出しています。
では、シューブリン氏のウォーキングテーブルはどのような仕組みで歩くのでしょうか?
まずウォーキングテーブルの8本の足は、左右で4本ずつに分かれています。
この片側4本の足(右前、左前、右後ろ、左後ろ)は、足先の金属板で2本がクロスするように繋がっています。
つまり、右前の足は左後ろの足と繋がっており、左前の足は右後ろの足と繋がっているのです。
さらにこれらの足は根本付近の軸で繋がっており、人間が力を加えることで、足1セットごとに交互に持ち上がって前方に踏み出すようになっています。
こうしたリンク機構によりテーブル片側の4本足だけでも、生物のような歩行が生み出されます。
そして同じ構造をテーブルのもう片方にも備えることで安定感のある歩行を実現しているのです。
動きだけを見ると「デザインや動作を重視した不思議な発明品」という印象ですが、実はテーブルの固定概念を払拭してくれる「実用性も兼ね備えた家具」だと言えます。
通常、テーブルと椅子を使う場合、「テーブルを固定して椅子を動かす」ものですが、このウォーキングテーブルを使用すれば、「椅子を固定したまま(椅子に座ったまま)テーブルを引き寄せる」なんてことも可能です。
ウォーキングテーブルは2006年にデザインされましたが、そのアイデアは今でも人々を魅了しています。
参考文献
WALKING TABLE