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しかし対象の感情を正確に読み取るには、複数の機器や専用の施設が必要です。
少なくとも表情を読み取るためのカメラ、脳波を測定するデバイス、それらの情報を処理するコンピュータが必要なのです。
そのため運転中のライダーなど、使用環境が制限されている場合には、感情を読み取ることが難しいと考えられてきました。
ただし、ストレスレベル、血中酸素濃度、心電図などの生体情報であれば、現代の技術なら運転中のライダーからでもリストバンドやベルトを通して簡単に得られます。
実際、健康管理用のスマートバンドや同様の機能を備えたスマートウォッチなどは、既に存在していますね。
そこで研究チームは、AIに脳波などを含めた多様なデータで人間の感情を推定する学習をさせ、それをもとにベルトやウェアに装着されたセンサーから得た心電データだけを用いて、人間の感情を推定させるシステムを開発しました。
さらにこの独自の技術をスマホアプリに導入することで、運転中のライダーでも簡単に精度の高い感情推定を実施できるようにしました。
このアプリを使うと、ライダーの感情(感動、喜び、リラックス、緊張など)がリアルタイムでスマホにフィードバックされます。
そしてその結果をもとに、地図上の道をライダーの感情ごと異なる色で着色して表示させたのです。
つまり、ライダーが道路上のどのポイントで、どんな感情になったかを詳細に可視化してくれるのです。
これにより、自分が「渋滞でイライラした道」「快適かつ美しい景色で感動した道」などを視覚的に知ることができます。
研究チームは、このアプリの実証実験を2023年後半より開始する予定です。
そしてアプリで得られた情報は、様々な応用が可能だと考えられます。
例えば、多くのユーザーから集めた情報を統合することで、「ライダーたち皆が感動したツーリングロード」が判明します。
また「渋滞しやすい道路」や「交通量が多くて事故が起こりやすい道路」「退屈で居眠りしやすい道路」なども分かります。
これらの情報を共有できるようになれば、ライダー全体の事故を減らし、より楽しく感動できるツーリングを体験がアプリから提供できるようになるでしょう。
さらにバイクだけでなく、自動車や自転車、歩行者でもこのアプリの活躍は期待できます。
歩行者(観光客)の感動レベルを示す観光地マップなどが作られれば、画像の投稿や口コミ以上に信頼性の高い候補地の選定ができるかもしれません。
感情を正確かつ簡単に可視化するアプリの可能性は幅広く、今後の進展と応用が楽しみですね。
参考文献
【プレスリリース】ライダーの感情を可視化する「感情センシングアプリ」を開発 https://www.ynu.ac.jp/hus/koho/30057/detail.html